宅建試験の受験者の皆さん、こんにちは。本記事では宅地建物取引士、いわゆる「宅建士」の登録と資格要件について、宅建業法をもとに丁寧に解説していきます。宅建試験に合格するだけでは宅建士にはなれません。資格取得後に必要な実務経験や登録、取引士証の交付手続き、欠格要件などをきちんと理解し、試験勉強とあわせて押さえておきましょう。

宅地建物取引士の基本的な定義
宅地建物取引士とは、宅建業法に基づき、一定の条件をすべて満たした者のことをいいます。まず、宅建試験に合格することが必要です。その後、2年以上の実務経験を積むか、実務講習を修了することが求められます。さらに、登録申請を行い、登録完了後に取引士証の交付を受けて、初めて「宅地建物取引士」と名乗ることができます。この流れを知らずに試験だけ合格して終わってしまう方もいますが、それでは資格としての効力は持ちませんので、注意が必要です。
宅建士の業務と求められる役割
宅建士の仕事には、宅建業法で定められた重要な事務が3つあります。それは「重要事項の説明」「重要事項説明書(35条書面)への記名押印」「契約成立時に交付する37条書面への記名押印」です。これらは、宅建士証を持つ者のみが行うことができます。この3つの事務は、宅建業者として顧客と信頼関係を築くうえでも欠かせないもので、取引において極めて重要な役割を果たします。受験勉強の際には、この部分の理解も深めておきましょう。
登録の基準と宅建士になれない欠格要件
宅建試験に合格し、実務経験または講習をクリアしたとしても、すべての人が登録できるわけではありません。登録には、宅建業法に定められた「欠格要件」が存在します。例えば、禁錮以上の刑を受け、5年を経過していない者、暴力団関係者、宅建業法違反で罰金刑を受けた者などは登録できません。また、精神疾患などで判断能力に問題がある場合や、破産して復権を得ていない者も該当します。これらは、宅建業の公正さと取引の安全を守るために設けられているものです。

登録の申請先と申請方法
登録の申請は、宅建試験を受けた都道府県知事に対して行います。試験の実施地が違えば、登録先も異なる点に注意しましょう。登録が完了したら、取引士証の交付申請を行い、初めて宅建士として活動できます。国土交通大臣への申請が必要なのは宅建業者の免許のみで、取引士の登録に国土交通大臣は関与しません。試験問題でもよく問われる点なので、しっかり押さえておきましょう。
復権後の再登録と重要な注意点
破産などにより欠格要件に該当した場合でも、復権を得れば再登録が可能です。例えば、破産者が復権した場合、すぐに登録申請ができます。ただし、執行猶予中や欠格事由が継続している間は登録できません。試験では、こうした条件の違いが問われることが多いため、例外規定も含めて覚えておくことが重要です。復権の仕組みや再登録の流れについても理解しておきましょう。