賃貸不動産経営管理士の試験では、賃貸借契約の「更新」や「終了」に関する問題が頻出です。特に、法定更新・定期建物賃貸借・終了事由などは、実務にも直結する重要テーマです。宅建士としての知識を活かしながら、整理してみました。
賃貸借契約の更新とは
賃貸借契約の更新とは、契約期間が満了した後に契約の同一性を維持したまま延長することです。期間の定めがない賃貸借には更新は不要ですが、期間を定めた契約では更新が問題になります。特に建物賃貸借では、黙示の更新や法定更新のルールが重要です。

黙示の更新と法定更新の違い
民法では、期間満了後も賃借人が使用を続け、賃貸人が異議を述べない場合には黙示の更新とされます。一方、借地借家法では「法定更新」として、より賃借人保護を強めています。例えば、更新拒絶の通知をしなければ自動的に更新されたとみなされる仕組みがあり、さらに更新拒絶には「正当事由」が必要となります。

合意更新の特徴
当事者同士で契約期間や条件を再度定める「合意更新」もあります。これは柔軟に行える一方、借主に不利な特約は無効とされるため注意が必要です。試験でも「合意更新は通知期間が不要である」といった点が問われやすいです。

定期建物賃貸借の仕組み
定期建物賃貸借は「更新がない」契約であり、契約の自由度は高いものの、書面交付や説明義務など厳格な要件が課されています。特に、更新がない旨を明記した書面の交付を怠ると普通建物賃貸借とみなされる点は落とし穴です。さらに、居住用建物では借主にやむを得ない事情があれば中途解約が認められることもあります。

賃貸借契約の終了原因
終了原因としては、①賃借物の全部滅失、②期間満了、③解約申入れ、④債務不履行による解除、⑤合意解除などがあります。特に建物の全部滅失や大規模な朽廃により使用収益ができなくなった場合は、契約が当然に終了する点は押さえておきたいポイントです。

試験で狙われやすいポイント
- 黙示の更新と法定更新の違い
- 更新拒絶の通知と正当事由の要件
- 定期建物賃貸借の要件(書面・説明義務など)
- 居住用建物における中途解約の特例
- 終了原因の種類と判例の扱い

例題
建物賃貸借契約において、期間満了の通知をしなかった場合に契約が更新されたものとされるのはどのケースか。
- 定期建物賃貸借
- 普通建物賃貸借
- 駐車場(平面)の賃貸借
- 期間の定めのない賃貸借
解答
正解は2の「普通建物賃貸借」です。借地借家法26条により、更新拒絶の通知をしない場合には法定更新が成立します。定期建物賃貸借では更新そのものがありません。

賃貸借契約の更新や終了は、賃貸不動産経営管理士試験だけでなく、実務においても賃貸人・賃借人双方の利益に直結します。条文だけでなく判例や実務運用もあわせて学習することで、理解が一層深まります。
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