宅建試験の合格を目指す皆さん、こんにちは。
試験本番まで残り1週間あまり。最後の追い込み、本当にお疲れ様です。今回は、皆さんの学習内容と未来の実務に直結する、非常に重要な制度の最新動向について解説します。マンション管理業協会が10月10日に発表したデータによると、2022年に始まった「マンション管理適正評価制度」の登録件数が、ついに1万件に迫る勢いで急増しています。この「星の数」で管理状況がわかる新制度は、不動産業界の常識を大きく変えようとしています。
「マンション管理適正評価制度」とは何か?
まず、この制度の基本をおさらいしましょう。これは、分譲マンションの「管理の質」を専門家が客観的に評価し、星の数(★0~★5の6段階)で可視化する仕組みです。評価項目は、以下の5つのカテゴリーにわたる30項目で構成されています。
- 管理体制:管理組合が適切に運営されているか
- 建築・設備:建物や設備の維持管理状況
- 管理組合収支:修繕積立金は計画通りか、滞納はないか
- 耐震診断関係:耐震診断は実施されているか
- 生活関連:防災マニュアルやコミュニティ活動の状況
まさに、皆さんが試験で学ぶ「区分所有法」や「マンション管理」の知識が、そのまま評価基準になっているのです。
登録9,700件超!データから見えてくる市場の動向
運用開始から約2年半で、登録件数は9,702件に達しました。特に直近3ヶ月で1,000件以上増えており、管理への意識が高いマンションから、登録が急速に進んでいることがわかります。データを見ると、興味深い傾向が浮かび上がってきます。
- 高評価が多数:全体の約75%が「★4」以上と、非常に高い評価を得ています。これは、管理に自信のあるマンションが、その価値をアピールするために積極的に制度を活用していることを示しています。
- 大規模・築浅ほど高評価:総戸数が多いマンションや、築年数が新しいマンションほど、「★5」の割合が高くなる傾向があります。これは、大規模マンションはスケールメリットを活かして専門的な管理を導入しやすく、築浅マンションは修繕箇所が少ないためと考えられます。
- 中小規模マンションが8割:一方で、登録物件の8割以上が100戸未満の中小規模マンションです。これは、これまで管理状況が外部から見えにくかった中小規模のマンションにとって、この制度が管理の質を証明する強力なツールになっていることを意味します。
「マンションは管理を買え」が現実になる
不動産業界には古くから「マンションは管理を買え」という格言があります。どんなに立地や内装が良くても、管理がずさんなマンションは、将来的に資産価値が大きく下落するリスクをはらんでいるからです。
この新制度は、この格言を具体的な「星の数」として証明するものです。私たち宅建士の役割も、この制度によって大きく変わります。
- 売主様への提案:管理状況が良いマンションであれば、この制度に登録し、高い評価を得ることで、売却活動を有利に進めることができます。「このマンションは★5の評価を得ています」という一言は、何よりのセールストークになります。
- 買主様への説明:中古マンションの購入を検討しているお客様に対し、物件のスペックだけでなく、「管理の質」という重要な判断材料を、客観的な評価に基づいて提供できます。これは、重要事項説明を補完する、極めて重要な情報となります。
試験知識と実務の架け橋となる新制度
試験まで残りわずか。皆さんが今まさに奮闘している「区分所有法」の管理組合の決議要件や、「長期修繕計画」「修繕積立金」といった知識。これらが、この「マンション管理適正評価制度」の根幹をなしています。
なぜ長期修繕計画が重要なのか。なぜ修繕積立金の額が適正でなければならないのか。その答えが、マンションの資産価値を直接左右する「星の数」となって現れるのです。
この制度の広がりは、皆さんが宅建士として活躍する未来の不動産市場の姿を映し出しています。試験で学ぶ知識の一つひとつが、現実の取引でいかに重要であるかを意識しながら、最後のラストスパート、頑張り抜いてください!応援しています。


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