宅建試験受験者の皆さん、こんにちは。
今回は「区分所有建物(マンション)」や「貸借契約」に関する重要事項説明の中でも、特殊なルールや押さえておくべきポイントを中心に解説していきます。
これらは通常の売買契約とは説明内容が異なり、細かい項目や注意点も多いため、試験でもよく引っかけ問題として出題される部分です。
例題も交えながら、わかりやすく整理して学んでいきましょう。

区分所有建物(マンション)の重要事項説明の特徴
マンションの売買契約を行う場合、以下の点について通常の一戸建て住宅とは異なる説明義務が発生します。
必ず説明するべき事項
- 敷地利用権の種類と内容
- 共用部分の管理方法
- 管理規約の有無とその概要
- 管理費・修繕積立金の額と支払方法
- 修繕積立金等の滞納額
- 建替え決議の要件
例題1
区分所有建物の売買において、重要事項説明で必ず説明しなければならない事項として正しいものはどれか。
A. 売買代金の額
B. 手付金の額
C. 敷地利用権の種類と内容
D. 契約不適合責任の内容
正解と解説
→C
マンションの売買では、必ず敷地利用権の種類と内容を説明する必要があります。
借地権付き建物に関する重要事項説明
借地権付き建物の売買や賃貸借契約では、通常の宅地建物取引よりもさらに説明しなければならない内容があります。
説明すべき主な事項
- 借地権の種類(地上権・賃借権など)
- 借地権の存続期間
- 地代の額・支払方法・支払時期
- 借地権の更新条件
- 建替えや譲渡承諾の要否とその条件

例題2
借地権付き建物の売買契約を行う場合、重要事項説明で説明しなければならない事項として正しいものはどれか。
A. 敷金の返還条件
B. 借地権の存続期間
C. 修繕積立金の金額
D. 建物の耐震基準
正解と解説
→B
借地権の存続期間は、取引条件として非常に重要なため、必ず説明する義務があります。
貸借契約特有の説明義務
賃貸借契約を締結する場合も、売買契約とは異なる項目の説明が求められます。
主な説明事項
- 建物の用途制限
- 設備の整備状況
- 契約期間と更新条件
- 賃料、敷金、礼金、共益費の額と支払い方法
- 修繕・維持の負担区分
- 原状回復義務の内容
例題3
賃貸借契約の重要事項説明において、説明する義務がないものはどれか。
A. 敷金の額と返還条件
B. 契約期間と更新条件
C. 瑕疵担保責任の免責内容
D. 修繕積立金の滞納額
正解と解説
→D
修繕積立金はマンションなどの所有者が負担するものであり、賃貸借契約では説明義務はありません。

契約解除・特約に関する注意点
宅建業法では、契約解除や特約についても必ず説明することが求められます。
特に以下の事項は、必ず説明が必要です。
- 手付解除の可否と方法(期間・手付金額)
- 違約金、損害賠償の予定額
- 融資利用の有無と特約解除の条件
- 瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲と免責
例題4
宅建業者が売主となる売買契約で、融資利用特約付き契約を結ぶ場合、重要事項説明で説明しなければならない事項として正しいものはどれか。
A. 融資額の上限
B. 融資不成立時の解除条件
C. 金利の変動幅
D. 保証料の支払い方法
正解と解説
→B
融資利用特約の解除条件(期限や解除方法)は必ず説明する必要があります。


契約不適合責任(瑕疵担保責任)に関する説明
近年、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」という名称に変わり、これも重要事項説明で説明する義務があります。
説明するべき主な内容
- どのような契約不適合が発生した場合に責任を負うか
- 責任の範囲と期間
- 責任免除の有無
- 損害賠償の範囲と請求方法
例題5
宅建業者が売主となる新築住宅の売買契約において、重要事項説明で説明しなければならない事項として正しいものはどれか。
A. 新築住宅の保証期間
B. 売主の瑕疵担保責任の内容
C. 管理規約の内容
D. 敷地利用権の種類
正解と解説
→B
売主の契約不適合責任(瑕疵担保責任)の内容は必ず説明しなければなりません。
試験対策まとめとアドバイス
この分野で試験に出やすいポイントは以下の通りです。
- 区分所有建物の敷地利用権、管理規約、修繕積立金
- 借地権付き建物の借地権の内容、存続期間、更新条件
- 貸借契約の契約期間、更新条件、用途制限、設備状況
- 手付解除、融資利用特約、契約不適合責任の説明義務
- 売買・貸借・区分所有建物・借地権付き建物の違いの整理
例題を中心に、引っかけ問題に注意しながら暗記だけでなく「理解」を伴った学習をすることが重要です。
過去問を分野別にまとめて解き、正誤の理由を説明できるようにしておきましょう。


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