宅建試験受験者の皆さん、こんにちは。
今回は自ら売主制限の第二弾として、損害賠償額の予定・手付金の制限・手付金等の保全措置について詳しく解説していきます。
どれも宅建試験で毎年のように問われる超重要ポイントですので、例題を交えながらしっかりと理解を深めていきましょう!


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損害賠償額の予定等の制限とは
売買契約では、債務不履行に備えて損害賠償額の予定や違約金をあらかじめ取り決めることができます。
しかし、宅建業者が自ら売主となる場合、代金の2割を超える損害賠償額・違約金の合算は無効です(超える部分が無効)。
【ポイント】
- 損害賠償額+違約金の合計が代金の2割以内でなければならない
- 超えた部分のみ無効、全部が無効になるわけではない
例題1
代金5,000万円、損害賠償額600万円、違約金500万円の契約。問題点は?
A. 全額有効
B. 合計1,100万円のうち2割(1,000万円)を超える100万円分が無効
C. 600万円のみ無効
D. 契約自体が無効
正解 → B

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手付の額等の制限とは
宅建業者が自ら売主として手付を受領した場合、その手付はすべて「解約手付」とみなされます。
【解約手付のポイント】
- 売主は手付の倍額を支払い、買主は手付を放棄して契約解除可能
- 履行に着手する前であれば解除できる
- 手付金の額は代金の2割以内とする(超過部分は無効)
【履行に着手とは?】
- 売主:引渡しや登記を実施した
- 買主:内金など代金の一部支払をした
例題2
手付金1,200万円を受領したが、代金は5,000万円。手付制限に違反しているか?
A. 違反していない
B. 200万円が無効
C. 全額無効
D. 自由に定められる
正解 → B

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手付による契約解除の特約に注意
- 「契約締結後○日以内のみ解除可能」など、買主に不利な特約は無効です。
- 解除できる期限に制限をつけることはできません。
例題3
「契約締結後30日以内に限り手付解除可能」とする特約は?
A. 有効
B. 無効
C. 条件付き有効
D. 双方合意すれば有効
正解 → B
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手付金等の保全措置とは
売主が契約締結から物件引渡しまでの間に代金の一部を受け取る場合、「手付金等の保全措置」を講じなければなりません。
【手付金等とは?】
- 手付金、中間金、引渡し前の残金など
- 名称に関係なく、契約締結から引渡し前に支払われる代金の一部すべて
【保全措置が不要なケース】
1. 未完成物件で5%以下かつ1,000万円以下
2. 完成物件で10%以下かつ1,000万円以下
3. 登記済み(所有権移転・保存登記)
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手付金等の保全措置の方法
保全措置は次の3つのいずれかで行います。
保全方法 | 内容 | 完成物件 | 未完成物件 |
金融機関による保証 | 保証委託契約に基づき連帯保証 | 〇 | 〇 |
保険事業者による保険 | 保険契約に基づき保険金で補填 | 〇 | 〇 |
指定保管機関による保管 | 指定機関が手付金を保管(未完成不可) | 〇 | × |
※未完成物件は「保管」方式が使えないことに注意!
例題4
未完成物件で保全措置として利用できない方法はどれか?
A. 金融機関による保証
B. 保険事業者による保険
C. 指定保管機関による保管
正解 → C

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試験対策まとめとポイント
この分野のまとめポイントは次の通りです。
- 損害賠償額+違約金は代金の2割まで(超えた部分のみ無効)
- 手付金も代金の2割以内、すべて解約手付とみなす
- 手付解除は履行に着手する前までなら可能
- 手付金等の保全措置は、金額・割合に応じて義務が発生
- 未完成物件では「保管方式」は使えない
- 名称にかかわらず契約締結~引渡し前の金銭は手付金等に含まれる
特に、手付金の制限と手付金等の保全措置の違いを明確に区別して覚えることが、試験突破のカギになります!