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宅建試験で必ず覚えたい宅地造成等規制法の全知識~規制区域の指定基準から許可手続・技術基準・防災区域の違いまで例題付きで総まとめ~

宅建
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宅建試験において「法令上の制限」は得点源であり、その中でも「宅地造成等規制法」は頻出です。崖崩れや土砂災害を防ぐために設けられたこの法律は、宅地開発において欠かせない知識です。

この記事では、規制区域・許可の必要性・許可手続きの流れ・防災区域の違いなど、宅建試験に出やすいポイントを例題とともに徹底解説します。

宅地造成等規制法の目的とは?

宅地造成等規制法の目的は、宅地造成に伴う災害の防止です。特に崖崩れや土砂の流出などによって、国民の生命や財産が危険にさらされることを防ぐために、この法律が制定されました。

都市の良好な環境形成ではなく、「災害防止」が本法の目的であることがポイントです。

宅地と宅地造成の定義を正しく理解しよう

宅地の定義

「宅地」とは、農地・森林・公園・道路など公共施設用地を除いた土地を指します。地目に関係なく、実態として農地等でない土地は「宅地」と扱われます。

たとえば…

  • ゴルフ場 → 宅地に該当
  • 学校の敷地 → 宅地に該当

宅地造成の定義

以下のいずれかに当たれば「宅地造成」となります。
1. 宅地以外の土地を宅地にするための土地の形質変更
2. 宅地における土地の形質変更

宅地造成工事規制区域とは?

宅地造成によって災害の恐れがある区域は、都道府県知事(指定都市や中核市ではその長)により「宅地造成工事規制区域」に指定されます。

  • 都市計画区域内外を問わず指定可能
  • 必要最小限の区域でなければならない
  • 公示と関係市町村長への通知が必要

土地所有者の同意は不要で、調査のための立入りや損失補償も規定されています。

許可が必要となる造成工事とは?

規制区域内で以下のいずれかの工事を行う場合、都道府県知事の許可が必要です。
1. 切土で高さ2m超の崖ができる工事
2. 盛土で高さ1m超の崖ができる工事
3. 切土+盛土で、高さ2m超の崖ができる工事(盛土1m以下)
4. 切土・盛土の面積が500㎡を超える工事

※ただし、造成後に宅地にならない(農地や公共施設用地になる)場合は許可不要。

許可は不要でも届出が必要なケース

以下の場合は許可不要ですが、都道府県知事への届出が必要です。

  • 規制区域の指定がされた時点ですでに工事が行われていた場合 → 21日以内に届出
  • 高さ2m超の擁壁等を撤去する工事(許可不要範囲内) → 14日前までに届出
  • 許可不要の宅地造成により宅地へ転用した場合 → 14日以内に届出

許可手続きと工事着工後の流れ

1. 許可取得のステップ

造成主(注文主や工事実施者)は、都道府県知事に申請 → 調査後に文書で許可または不許可の通知がなされます。

※目的外(例:都市環境の形成)での条件付許可は不可。あくまで「災害防止」が許可基準です。

2. 着工ステップ

  • 技術的基準に従って擁壁や排水施設を設置
  • 擁壁が5m超、排水施設が1,500㎡超 → 有資格者による設計が必要
  • 工事計画の変更には再許可(軽微な変更は届出で可)

3. 工事完了後

  • 都道府県知事の検査を受け、適合していれば検査済証が交付されます。

法令違反への監督処分と宅地の保全義務

無許可工事を行った場合、都道府県知事は弁明の機会を与えた上で以下の処分が可能です。

  • 工事の停止
  • 宅地の使用禁止

また、所有者・管理者・占有者には常に安全な状態で宅地を保つ努力義務があります。必要な場合、知事は擁壁の改造などを勧告・命令することも可能です。

造成宅地防災区域とは?

「造成宅地防災区域」とは、すでに造成された宅地のうち、地震や豪雨で崩壊の危険が高い区域に指定されるものです。

  • 指定は宅地造成工事規制区域外の宅地
  • 盛土または擁壁に危険性があるとされる区域が対象
  • 盛土5m未満でも指定可能(試験での引っかけに注意)

ここでも、所有者・管理者・占有者には擁壁の改造などの努力義務と、場合によっては勧告・命令が課されます。

例題で理解を深めよう!

問題:
次のうち、宅地造成等規制法に基づき「許可が必要」となる工事はどれか?

ア.盛土によって1.2mの崖ができるが、造成後は公共公園になる
イ.切土によって2.5mの崖ができ、宅地として販売予定
ウ.盛土によって0.8mの崖ができ、面積は600㎡
エ.高さ5mの擁壁を撤去する工事(工事面積は400㎡)

正解:イ
→ 宅地造成等規制法の規制区域内で、切土により高さ2m超の崖ができ、造成後に宅地となる場合は許可が必要。アは公共施設であり、ウは崖高さが基準未満、エは許可不要だが届出が必要なケース。

まとめ:宅建試験で出題されるポイントはここ!

  • 「宅地」の定義は登記地目でなく実態で判断
  • 規制区域指定は都市計画区域外でも可能
  • 許可が必要な工事の4類型を正確に覚える
  • 許可不要でも届出が必要な3つのケースに注意
  • 検査済証の交付で初めて安全な宅地とみなされる
  • 造成宅地防災区域との違いは「既存宅地」かどうか

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