宅建試験の合格を目指す皆さん、こんにちは。
昨今の不動産価格高騰の中、新潟県湯沢町などで、数百万円から購入できる安価な「リゾートマンション(リゾマン)」が、移住先や投資先として再び注目を集めています。しかし、その手頃な価格の裏には、特有の深刻なリスクが潜んでいることをご存知でしょうか。今回は、マンション管理の専門家が警鐘を鳴らす、リゾートマンション購入前に必ず知っておくべき5つのリスクについて、宅建試験の知識と絡めながら解説します。
リスク① 購入価格の「安さ」に隠れた高額な「維持費」
リゾートマンションの最大のリスクは、購入時の安さとは裏腹に、月々の「ランニングコスト(維持費)」が非常に高い点にあります。記事によると、湯沢町のリゾマンでは、ワンルームでも月3万円前後の管理費・修繕積立金がかかるケースも珍しくありません。これは、都市部の一般的なファミリーマンションに匹敵、あるいはそれ以上の負担です。
さらに重要なのは、その費用の内訳です。リゾマンは、住み込みの管理人がいたり、頻繁な除雪が必要だったりと、日々の「管理費」の割合が極端に高くなる傾向があります。その結果、将来の大規模修繕のために貯蓄されるべき「修繕積立金」の割合が少なくなりがちです。「安いと思って買ったのに、維持費が家賃並みにかかる」という事態に陥りかねません。

リスク② 築30年超えで迫る「大規模修繕」と「一時金」のリスク
多くが1990年前後のバブル期に建てられたリゾマンは、築30年を超え、まさに大規模修繕の更新時期を迎えています。特に、給排水管の更新には多額の費用がかかりますが、前述の通り、修繕積立金が十分に貯まっていないケースが少なくありません。
そうなると、どうなるか。管理組合は、修繕積立金の月額を大幅に値上げするか、それでも足りなければ、区分所有者から数十万~百万円単位の「一時金」を徴収する必要に迫られます。この突発的な出費に対応できず、物件を手放さざるを得なくなる所有者もいるのです。

リスク③ 投資物件としての厳しさと過剰な「供給」
「人に貸せば維持費を賄える」と考える方もいますが、現実は厳しいです。リゾマンはスキーシーズンなどの特定の時期を除いて借り手を見つけるのが難しく、年間の安定した家賃収入は期待しにくいのが実情です。
また、近年人気の「民泊」としての運用も、多くの場合、マンションの管理規約で禁止されています。さらに、根本的な問題として、リゾマンは供給過多です。湯沢町の例では、人口約7700人の町に1万4000戸ものマンションが存在します。「売りたい人」が「買いたい人」を常に上回っている構造のため、いざという時に売却できない「塩漬け」状態になるリスクが高いのです。

リスク④ 「区分所有法改正」がもたらす新たな課題
所有者が全国に点在しているリゾマンは、管理組合の総会が成立しにくく、意思決定が難しいというガバナンス上の課題を抱えています。この問題を解決するため、2026年4月には「改正区分所有法」が施行される予定です。
これにより、管理の適正化が進むことは期待されます。しかし、それは裏を返せば、これまで先送りされてきた修繕積立金の値上げなどが、より強制力を持って実行されるようになる、ということです。「安いから」という理由でリゾマンを購入した層にとっては、この「負担増を伴う管理適正化」が、所有を続ける上での大きな障壁となる可能性があります。

リスク⑤ 宅建士の重要責務「管理状況」の調査と説明
これらのリスクの多くは、マンションの「管理状況」を事前にしっかり調査することで、ある程度把握できます。しかし、記事でも指摘されている通り、多くのリゾマンは管理状況に関する情報公開に消極的です。
ここに、私たち宅建士の重要な役割があります。中古マンションの取引、特にリゾマンのような特殊な物件を扱う際には、重要事項説明において、物件のスペックだけでなく、
- 長期修繕計画の内容と、修繕積立金の積立状況
- 管理規約の内容(民泊の可否など)
- 管理費等の滞納状況といった、「管理」に関する情報を徹底的に調査し、買主に正確に説明する重い責務があります。業界の格言である「マンションは管理を買え」という言葉の意味を、この事例は改めて私たちに教えてくれるのです。
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