今回は昨年の宅建試験で出題された「天空率」について、わかりやすく解説していきます。稀に出る分野ですので、しっかりと中身をおさえておきましょう。
宅建試験合格のポイントについてはこちらで解説しております。

天空率とは?
天空率は、2003年(平成15年)の建築基準法改正で導入された日影規制の新しい考え方です。建物の高さを規制する方法の一つで、敷地の周囲から空が見える割合を数値化したものです。
なぜ天空率が導入されたのか?
従来の高さ制限では、画一的な規制により、建築物の形状の自由度が低く、必ずしも周辺環境に適した建物デザインができませんでした。天空率による規制は、より柔軟な建物設計を可能にし、都市環境の質の向上を目指しています。
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天空率の計算方法
天空率は以下の手順で計算します:
- 敷地境界線上の各点から見た空の面積を測定
- その点から見上げた場合の天空全体の面積を100%として計算
- 建物が建つことで遮られる空の面積を差し引く
天空率規制のメリット
- 斜線制限と比べて自由度の高い設計が可能
- 建物の形状を工夫することで、より効率的な空間利用が可能
- 周辺環境との調和を図りやすい
宅建試験での出題ポイント
試験では主に以下の点が問われます:
- 天空率の基本的な概念の理解
- 導入された背景・目的
- 従来の斜線制限との違い
- 適用される地域や区域
重要な用語の整理
- 天空率:敷地境界線上の各点から見た空の占める割合
- 斜線制限:道路や隣地からの距離に応じて建物の高さを制限する従来の方式
- 適用除外:天空率による高さ制限の緩和が認められない区域
まとめ
天空率は、現代の都市計画において重要な役割を果たす規制方式です。宅建試験では、その基本的な考え方と従来の規制との違いを理解しておくことが重要です。
試験では細かい計算方法までは問われませんが、制度の目的や特徴については確実に押さえておきましょう。

練習問題
次の記述のうち、正しいものはどれでしょうか?
- 天空率による規制は、すべての地域で斜線制限に代わって適用される
- 天空率は、建物の形状の自由度を高めることを目的の一つとしている
- 天空率の計算には、建物の床面積が関係する
- 天空率は、1990年の建築基準法改正で導入された
(正解:2)
解説:天空率は建物形状の自由度を高めることが目的の一つです。すべての地域で適用されるわけではなく、床面積との直接的な関係もありません。また、導入されたのは2003年です。
