昨年の宅建試験で、受験生の多くが戸惑ったであろう「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について、改めて調べてみました。
こちらの問題は、令和6年度宅建試験第42問として出題されました。私も試験問題を見た時に、全く見たことない問題だったので、フリーズしてしまいました。
まずはどんな問題か見てみましょう。
実際の問題
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定及び「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、誤っているものはどれか。
1.宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2.宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。
3.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅地建物取引業者は、原則として、買主に対してこれを告げなくてもよい。
4.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死以外の死が発生した場合であっても、特段の事情がない限り、当該死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、宅地建物取引業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。
答え
答えは2です。
解説
この問題のポイントは「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に惑わされず、2番の誤りに気付くことができるかになります。2番の引き渡し時期への故意による不実の告知は、例え契約書面が正しく書かれていようとNGになります。
宅建試験では、過去に出たことのない、馴染みのない単語を含む問題も毎年何題か出題されます。ただ、その場合でも、今回の問題のように、馴染みのない単語に関する知識を問われるのではなく、通常のテキストに書かれている内容で正誤が判断できるようになっていることが多いです。新しい言葉に惑わされることなく冷静に判断できるようになることが重要です。
人の死の告知に関するガイドライン
実際にどんなものか見てみましょう。
国土交通省のホームページに出ております。
以下のページにありました。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000246.html

自然死については告知不要とされています。
一般的な感覚とは異なっているような気がしますが、背景にあるように、高齢者への貸し渋りを避ける目的があるようです。
あまり深追いし過ぎるとよくないですが、国交省のホームページにも、試験前などに目を通すといいかもしれません。
