久しぶりに実家に帰りました。実家周辺では、自分の自宅周辺とは異なり、低い建物が多いなあと感じました。これは自治体の用途地域の違いによるものです。今回は都市計画法における用途地域13種類のうち、主に住居系の地域5種類について詳しく解説していきます。宅建試験でもよく出題される知識なので、必ず覚えておくようにしましょう。
宅建試験合格のポイントについては以下で解説しています。

その他住居系地域は下記で説明しています。
商業系、工業系は下記で説明しています。
第一種低層住居専用地域
閑静な住宅街の代表格とも言える地域です。主に戸建て住宅が建ち並ぶ、良好な住環境を守るために設定された地域です。
建築できる主な建物
- 戸建て住宅
- 小規模な兼用住宅(床面積の半分以下が事務所など)
- 幼稚園、小中学校
- 神社、仏閣
- 診療所(床面積150㎡以下)
- 図書館
主な建築の制限
- 建ぺい率:30〜60%
- 容積率:50〜100%
- 高さ制限:10m or 12m
第二種低層住居専用地域
第一種とよく似ていますが、小規模な店舗や事務所の立地がより緩やかに認められている地域です。
第一種に加えて建築できる主な建物
- 小規模な店舗(床面積150㎡以下)
- パン屋、洋服屋など作業場が50㎡以下の工場
主な建築の制限
- 第一種とほぼ同じ
- 建ぺい率:30〜60%
- 容積率:50〜200%
第一種中高層住居専用地域
中高層の集合住宅や、教育施設などが立地可能な地域です。
主な特徴
- マンションなどの中高層住宅の建築が可能
- 病院、大学などの教育施設も建築可能
- 小規模な店舗(500㎡以下)も許可
主な建築の制限
- 建ぺい率:30〜60%
- 容積率:100〜300%
第二種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域より、さらに大規模な店舗などの立地が認められる地域です。
第一種に加えて建築できる主な建物
- 店舗、事務所(1500㎡以下)
主な建築の制限
- 建ぺい率:30〜60%
- 容積率:100〜300%
田園住居地域
2017年の法改正で新設された比較的新しい用途地域です。農地と調和した住環境の保護を目的としています。
主な特徴
- 農業の利便増進と良好な住居環境の保護が目的
- 農地を含む低層住宅地の環境を守る
建築できる主な建物
- 第ニ種低層住居専用地域と同じ
- 農業系の施設は一部緩和がある
主な建築の制限
- 建ぺい率:30〜60%
- 容積率:50〜200%
- 高さ制限:10m or 12m
周辺知識
北側斜線制限について
これらの5つの住居系用途地域には北側斜線制限という規制がされます。住宅地での日照を確保するための重要な建築規制です。
制限の内容
- 北側隣地境界線から一定の角度で高さを制限
- 低層住居専用地域:勾配1.25(5m)
- 中高層住居専用地域:勾配1.25(10m)
この制限により、北側の敷地に日影が過度に生じることを防ぎ、居住環境を保護します。
特別用途地区について
特別用途地区は、用途地域の規制を強化または緩和するための制度です。
主な目的と特徴
- 地域の特性に応じたきめ細かな土地利用の規制
- 文教地区、特別工業地区、観光地区など、目的に応じて設定
- 各自治体が独自に定められる
設定例
- 住居系地域での建築物の用途制限強化
- 特定の産業の保護育成
- 歴史的な街並みの保全
まとめ
用途地域制度は、快適な街づくりのための重要な基準です。特に住居系地域は、私たちの生活環境を守るための細かな規制が設けられています。土地の購入や建築を検討する際は、必ずその地域の用途地域を確認し、制限内容を理解しておくことが大切です。
また、宅建試験でも必須の知識となりますので、覚えておきましょう。