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宅建試験に頻出する錯誤・詐欺・強迫・取消しのルールと追認の効力を完全攻略 ~無効と取消しの違い、第三者の保護、取消権の消滅と追認のタイミングまで例題付きで完全整理~

宅建
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宅建試験で毎年のように出題される「意思表示に関する瑕疵」。特に錯誤・詐欺・強迫による意思表示とその取消しの可否、無効との違い、さらには第三者への対抗可否は混同しやすく、得点差がつきやすい分野です。

この記事では、それぞれの法的効果を図解なしでも分かるよう丁寧に解説し、例題を交えて記憶に定着させます。

錯誤とは何か?思い違いによる意思表示

錯誤とは、表意者が何らかの思い違いをして意思表示をした場合です。心裡留保や虚偽表示とは異なり、本人が気付かずに間違っていた場合を指します。

錯誤には大きく分けて以下の2種類があります。

  • 表示の錯誤:100㎡と記載するつもりが100坪と記載したような誤記など
  • 動機の錯誤:将来、駅ができると信じて土地を買ったが、事実ではなかった場合など

動機の錯誤で取り消しができるのは、その事情を相手方に表示していた場合に限られるという点に注意が必要です。

錯誤による意思表示は取消し可能?無効ではない?

2020年の民法改正により、錯誤は原則として取消しの対象となりました。以下の要件を満たせば、取り消すことができます。
1. 重要な錯誤であること(取引上重要)
2. 表意者に重大な過失がないこと(=過失があれば取消し不可)
  ただし、相手方が悪意(知っていた)または重過失があれば取り消せます
3. 第三者が善意・無過失であるときは取消しを対抗できない

詐欺とは?相手をだまして契約させる行為

詐欺は、相手をだまして意思表示をさせる行為です。たとえば、「数年後に駅ができる」と虚偽の情報を伝えて土地を買わせた場合などが該当します。

この場合、表意者(だまされた側)は意思表示を取り消すことができます

第三者による詐欺はどうなる?

第三者が詐欺を行った場合でも、相手方がそれを知っていた(悪意)または知ることができた(有過失)ときは、取り消すことができます。
逆に、相手方が善意・無過失であれば、取り消すことはできません

詐欺と第三者の関係

詐欺による取り消しは、善意・無過失の第三者に対しては対抗できません。つまり、そのような第三者が登場した場合、契約は有効であるかのように扱われます

たとえば、AがBの詐欺により不動産を売却し、Bがその不動産をC(善意・無過失)に転売した場合、AはCに対して所有権を主張できません。

強迫による意思表示の取り消しはより強力

強迫とは、相手を脅して意思表示をさせる行為です。例:「この土地を売らなければ命はないぞ」と脅す行為などです。

  • 強迫による意思表示は取り消すことができます
  • 第三者による強迫でも、取消し可能です。相手方が善意・無過失であっても関係ありません。

また、善意・無過失の第三者にも取消しを対抗できます。これは、強迫によって意思表示をした人をより厚く保護するという考えに基づいています。

無効と取消しの違いと効果

内容無効取消し
効果初めから効果がない有効な行為だが後に取り消すことができる
主張者原則誰でも主張可能原則として表意者や代理人などのみ
第三者への対抗原則として可能制限あり(善意・無過失なら不可)

取り消しによって契約がなかったことになった場合、原状回復義務が発生します。ただし、制限行為能力者などの保護が必要な場合は、「現存利益」に限って返還すればよいとされます。

追認とは?取り消せなくなるタイミング

追認とは、「取消しうる法律行為を確定的に有効にする意思表示」です。以下の2種類があります。
1. 任意追認:取り消し原因が消滅した後、取り消せると知った上で明確に追認
2. 法定追認:一定の行為(履行、請求、担保設定など)を行ったことで、追認とみなされる

追認後は、以後取り消すことができません。

例題で理解を深めよう!

問題1:錯誤に関する記述のうち、正しいものはどれか。

ア.動機の錯誤は常に取り消すことができる
イ.錯誤による意思表示は常に無効である
ウ.重大な過失がある場合は取り消せない
エ.表示の錯誤とは、売主の意思が欠けている状態のことをいう

正解:ウ
→ 表意者に重大な過失がある場合、錯誤による取消しは原則としてできません。

問題2:詐欺と第三者に関する記述で正しいものはどれか。

ア.詐欺による意思表示は常に第三者に対抗できる
イ.善意・無過失の第三者には取り消しを主張できない
ウ.第三者による詐欺の場合は、取り消しできない
エ.第三者への対抗には登記が必要である

正解:イ
→ 詐欺による取り消しは、善意・無過失の第三者に対抗できません。

問題3:強迫による意思表示について正しいものはどれか。

ア.第三者による強迫は取消しできない
イ.善意の第三者には取消しを主張できない
ウ.取消しは可能で、第三者にも主張できる
エ.相手方が善意の場合のみ取消しできる

正解:ウ
→ 強迫による意思表示は、相手方や第三者が善意・無過失であっても取り消すことができます。

まとめ

宅建試験では以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 錯誤は取り消し、詐欺や強迫も取り消し
  • 表意者に重大な過失があると錯誤の取消しは不可
  • 善意・無過失の第三者は保護されるが、強迫は例外
  • 取り消しは一定期間を過ぎると時効消滅(5年・20年)
  • 一定の行為で法定追認とみなされ、以後取消し不可

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