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宅建試験で確実に点を取るための債権譲渡と債務引受の完全解説

宅建
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譲渡制限特約や対抗要件、債務者の抗弁、二重譲渡の優劣判断まで例題付きで徹底マスター

債権譲渡と債務引受は、宅建試験において民法分野の頻出テーマです。どちらも債権関係の移転にかかわる制度でありながら、試験では細かい知識の正確さが問われます。

本記事では、債権譲渡の基本から対抗要件、譲渡制限特約の効力、二重譲渡の優劣判断、債務引受の2類型の違いと要件まで、例題を交えて丁寧に解説します。

債権譲渡とは?債権を他人に移す制度の基本

債権譲渡とは、契約などにより債権を第三者に譲渡(売却や譲与)する行為をいいます。例えば、AがBに対して100万円の貸金債権を持っているとき、この債権をCに譲渡することができます。

  • 弁済期前の債権でも譲渡可能
  • 将来発生する債権の譲渡も有効(発生後に効力が発生)
  • 譲渡の合意があれば成立(債務者の同意は不要)

譲渡制限の意思表示とその効力

債権譲渡には原則自由が認められていますが、当事者間で「この債権は譲渡しない」といった制限(譲渡制限特約)を設けることも可能です。

効力のポイント

  • 譲渡制限があっても債権譲渡は有効
  • 債務者が「悪意」または「重過失」でその譲渡を知っていた場合、履行を拒める
  • 債務者が譲渡人に履行も拒む場合、譲受人は債務者に「譲渡人に履行せよ」と催告でき、履行がなければ譲受人への履行請求が可能になる

【例】A→Bへ貸金債権(譲渡制限付き)→Cに譲渡(Cは制限を知っていた)→BはCへの履行を拒否→CはBに対してAへの履行を催告→催告期間中に履行なし→BはCに履行を拒めなくなる

債権譲渡の対抗要件

債権譲渡が成立しても、債務者や第三者にその効果を主張(対抗)するには、一定の手続きが必要です。

債務者に対する対抗要件

  • 債権者(譲渡人)からの「通知」または債務者の「承諾」が必要
  • 通知は譲渡人からでなければ無効(判例)
  • 承諾は譲受人に対して行っても有効(判例)

第三者に対する対抗要件

二重譲渡のようなケースでは、「確定日付のある証書による通知」または「確定日付のある承諾」が優劣を分けます。

  • 同一債権が二重譲渡された場合、先に確定日付のある通知(または承諾)を受けた方が優先
  • 同時到達の場合は債務者はどちらにも履行できる(判例)

【確定日付のある証書の例】

  • 公正証書
  • 内容証明郵便

債務者の抗弁と相殺の可否

債権譲渡が対抗要件を満たしていたとしても、債務者は一定の範囲で抗弁を主張できます。

主張可能な抗弁

  • 弁済済、取消、解除、同時履行の抗弁権など、譲渡前に発生した事由
  • 相殺も可能だが、以下の条件を満たす必要あり

相殺が可能な場合(いずれか)

1. 対抗要件具備前に債務者が取得していた債権
2. 対抗要件具備前の原因で発生した債権
3. 譲渡された債権と同一契約に基づく反対債権

※譲渡後に第三者から取得した債権による相殺はできません。

債務引受とは?第三者が債務を肩代わりする制度

債務引受とは、債務者以外の第三者が、債務者の負う債務を引き受ける制度です。以下の2種類があります。

免責的債務引受

引受人が債務を全て引き受け、旧債務者は債務から解放される契約です。

成立要件:

  • 債権者・債務者・引受人の三者契約
  • 債権者と引受人の契約でも可能(債務者への通知で効力発生)
  • 債務者と引受人の契約でも可能(債権者の承諾が必要)

【例】A→Bへ貸金→Cが引受→Bは免責、AはCに請求できる

併存的債務引受

引受人が債務を負担するが、旧債務者も引き続き債務を負う契約です。

成立要件は免責的引受と同様で、三者契約・通知・承諾いずれかの方法が有効です。

実力確認!例題にチャレンジ

例題1:債権譲渡において、債務者に対する対抗要件として正しいものはどれか?

ア.譲受人からの通知
イ.債務者による譲渡人への承諾
ウ.債務者による譲受人への承諾
エ.譲受人による通知

正解:ウ(アとエは誤り。通知は譲渡人からでないと無効)

例題2:譲渡制限特約のある債権が悪意の第三者に譲渡された場合、債務者が履行を拒むことができない条件として正しいものはどれか?

ア.債務者が譲渡人に通知したとき
イ.譲受人が請求を行わなかったとき
ウ.譲受人が債務者に履行を催告し、応じなかったとき
エ.債務者が譲渡人に履行したとき

正解:ウ

例題3:債務引受に関して、免責的債務引受が成立するケースとして正しいものはどれか?

ア.債務者と引受人だけで契約を締結し、債権者に通知した
イ.債権者と引受人が契約し、債務者に通知した
ウ.債務者と引受人が契約したが、債権者は承諾しなかった
エ.債権者が一方的に引受人を指定した

正解:イ

まとめ

債権譲渡と債務引受に関しては、以下の点を重点的に整理して学習しましょう。

  • 債権譲渡は契約のみで成立、対抗要件は通知または承諾
  • 確定日付のある証書で二重譲渡の優劣が決まる
  • 譲渡制限特約があっても譲渡は有効。履行請求には条件がある
  • 債務引受には免責的と併存的があり、成立には三者の関係が必要

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