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宅建試験で押さえるべき相続人と相続分の基本ルールと承認・放棄の手続きまでを完全マスター~代襲相続から法定相続分、遺産分割や限定承認の要件まで例題付きで徹底解説~

宅建
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相続は、民法の中でも出題頻度が高く、宅建試験では特に「誰が相続人となるのか」「法定相続分はいくらか」「相続の承認・放棄の手続き」などが頻出の論点です。

この記事では、相続の基本である相続人と相続分、代襲相続や遺産分割、相続放棄や限定承認の手続きについて、具体例と例題を交えて分かりやすく解説していきます。


相続とは何か?基本概念と対象となる財産

相続とは、被相続人が死亡した際に、相続人がその財産上のすべての権利義務を承継することをいいます。

相続の対象となるもの

  • 積極財産:預金、不動産、動産などの財産
  • 消極財産:借金やローンなどの債務

ただし、被相続人のみに属する権利(例:身元保証、扶養を受ける権利などの一身専属権)は相続の対象外です。


誰が相続人になる?配偶者と血族相続人の順位

相続人には配偶者と血族相続人がいます。

  • 配偶者は常に相続人となります
  • 血族相続人には優先順位があります
順位相続人条件
第1順位子がいれば他は相続人とならない
第2順位直系尊属(父母など)子がいなければ相続人に
第3順位兄弟姉妹子・直系尊属がいないとき

胎児も、相続については出生したものとみなされます。


代襲相続の仕組みと再代襲の可否

相続の開始時に本来の相続人がすでに死亡していたり、相続欠格・廃除となっていた場合、その子(孫など)が相続人となります。これを代襲相続といいます。

  • 子の代襲相続:再代襲(ひ孫など)も可能
  • 兄弟姉妹の代襲相続:1代限り。再代襲は不可

相続欠格と廃除の違い

相続欠格

以下の行為をした者は当然に相続人資格を失います。

  • 被相続人や他の相続人を故意に殺害した場合
  • 被相続人の遺言を妨害、偽造、隠匿した場合 など

推定相続人の廃除

被相続人が、虐待や著しい非行を理由に家庭裁判所へ申立てて、相続権を剥奪する制度です。廃除は遺言でも可能です。


法定相続分の計算と具体例

共同相続の場合、相続財産は共有となり、以下の割合で分けられます。

相続関係配偶者の相続分他の相続人
配偶者と子1/2子が1/2(複数なら均等)
配偶者と直系尊属2/3尊属が1/3(複数なら均等)
配偶者と兄弟姉妹3/4兄弟姉妹が1/4(異母兄弟は1/2)

例題

事例1:被相続人Aが死亡し、配偶者Bと兄弟C・Dが相続人
→ 配偶者B:3/4(900万円)、兄弟C・D:1/8ずつ(150万円ずつ)

事例2:兄弟Dが異母兄弟の場合
→ C:200万円、D:100万円(合計300万円で兄弟姉妹の1/4を分ける)


遺産分割のルールと注意点

法定相続分に従って分割するのが原則ですが、遺産分割協議により、財産ごとの割当てが可能です。

遺産分割の効力

  • 遺産分割は、相続開始時にさかのぼって効力が発生
  • 第三者の権利を害することはできない
  • 分割の合意がなければ家庭裁判所に調停や審判を請求できる

相続回復請求権とは?

本来の相続人ではない者(表見相続人)が財産を取得していた場合、真の相続人は5年以内に返還請求(相続回復請求)できます。

  • 相続開始から20年を経過すると請求不可(除斥期間)

相続の承認・放棄の手続きと期限

相続人は相続が始まったことを知った日から3ヶ月以内に、以下のいずれかを選択します。

選択肢内容手続き
単純承認財産も借金もすべて承継特に手続き不要。一定行為で法定承認とみなされる
相続放棄一切の財産・債務を放棄家庭裁判所に申述
限定承認相続財産の範囲内で債務を承継相続人全員で家庭裁判所に申述・目録提出が必要

限定承認と放棄の違いと注意点

  • 放棄:はじめから相続人でなかったとみなされる
  • 限定承認:プラス財産の範囲内で借金を返済。残りを取得
  • 限定承認は、相続人全員の共同申述が必要

例題

事例:被相続人Aが1,000万円の財産と不明な債務を残して死亡
→ Bが限定承認すれば、債務が2,000万円でも1,000万円までの責任


実力チェック!例題で確認

例題1:相続欠格事由に該当する者は?

ア.被相続人を病気のまま放置した者
イ.被相続人を殺害しようとして刑に処せられた者
ウ.相続放棄した者
エ.相続人の廃除を家庭裁判所に請求した者

正解:イ


例題2:被相続人Aに配偶者Bと兄弟C・Dがいる。Dは異母兄弟。1,200万円の遺産をどう分ける?

正解:
B=900万円(3/4)
C=200万円(1/8)
D=100万円(1/16)


例題3:次のうち法定単純承認とみなされる行為は?

ア.家庭裁判所に放棄の申述
イ.相続財産の一部を売却
ウ.相続開始から2ヶ月放置
エ.遺産の保存行為

正解:イ


まとめ

相続は試験でも実務でも重要なテーマです。特に以下の点を押さえておきましょう。

  • 相続人には順位があり、配偶者は常に相続人
  • 代襲相続や相続欠格・廃除には要注意
  • 法定相続分の計算問題は頻出
  • 遺産分割や相続回復請求には期限と手続きがある
  • 相続の承認・放棄は3ヶ月以内に判断・申述が必要

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