PR

賃貸不動産経営管理士試験に必須の賃料改定と回収の知識を徹底整理 合意充当から供託や賃料増減請求権そして自力救済禁止まで重要ポイントを学ぶ

賃貸不動産経営管理士
記事内に広告が含まれています。

賃貸借契約の根幹をなす「賃料」に関しては、契約締結時から終了時まで常にトラブルの種となりやすく、試験でも毎年のように出題される分野です。特に「賃料改定」や「賃料回収」に関する知識は、実務的にも法的にも理解しておくことが不可欠です。今回は、試験対策としても役立つように重要ポイントを体系的に整理しました。


弁済と弁済の充当を正しく理解する

賃借人が賃料を支払う行為は「弁済」と呼ばれます。弁済が適切に行われれば債務は消滅します。しかし、複数の債務がある場合に「どの債務に充てられるか」を巡って争いが生じることがあります。これを「弁済の充当」といいます。

原則として、

  1. 合意による充当(貸主と借主で合意した場合)
  2. 債務者の指定(合意がないときは賃借人が指定)
  3. 債権者の指定(さらに指定がなければ賃貸人が指定)
  4. 法定充当(民法上のルールに従う)

という優先順位で処理されます。法定充当では「費用→利息→元本」の順序で消化されるため、試験では細かい順番を問われることが多いです。


弁済供託による債務消滅

「賃料を支払いたいのに貸主が受け取らない」「貸主の所在が分からない」という状況では、借主はどうすればよいでしょうか。この場合に用いられるのが弁済供託です。

供託が認められるケースは次の3つです。

  • 受領拒否(貸主が受け取りを拒む場合)
  • 受領不能(貸主が死亡や行方不明で受け取れない場合)
  • 債権者不確知(貸主が誰なのか不明の場合)

供託をすることで債務は消滅します。供託後は貸主に通知する必要があり、貸主は供託金をいつでも受け取ることができます。試験でも「供託の要件」や「供託によって債務が消滅するか否か」がよく問われます。


賃料自動改定特約の有効性と限界

契約に「賃料自動改定特約(スライド条項)」を設けることがあります。例えば、消費者物価指数に連動させる方式や、一定期間ごとに自動的に賃料を増額・減額する方式です。

合理的な範囲内であれば有効ですが、経済状況の変化にまったく適合しない不合理な内容は無効とされます。判例でも「実勢に合わない改定は認められない」とされています。試験では「どの特約が有効で、どの特約が無効になるか」を区別する問題がよく出題されます。


賃料増減請求権と借地借家法32条

借地借家法32条は、賃料に関する最も重要な条文の一つです。地価の変動、租税負担の増減、周辺相場との不均衡などによって賃料が不相当となった場合、貸主・借主のいずれからも賃料の増額や減額を請求できます。

これは「将来に向けて効力を生じる形成権」であり、請求があれば交渉し、それでもまとまらなければ調停や訴訟で決着を図ります。ここで重要なのは「減額しない特約は無効」「増額しない特約は有効」という点です。この点は試験で定番の出題ポイントです。


定期建物賃貸借と賃料改定特約の関係

通常の建物賃貸借契約とは異なり、定期建物賃貸借の場合は、借地借家法32条の規定は適用されません。つまり、契約時に定めた「賃料改定特約」が優先され、そのルールに従うことになります。

この違いを理解していないと、試験でひっかけ問題に対応できません。「普通借家契約」と「定期借家契約」での扱いをセットで整理しておく必要があります。


自力救済の禁止と判例の理解

賃料滞納が続くと貸主は困ってしまいますが、だからといって勝手に鍵を交換したり、残置物を処分することは許されません。これを「自力救済」といい、公序良俗に反し無効とされています。

実際に判例でも「貸主が無断で鍵を交換したことは不法行為」と判断され、損害賠償責任が認められています。契約書に「自力救済が可能」と書かれていても無効です。試験では「自力救済に関する判例の結論」がよく出題されるため、覚えておきましょう。


賃料回収と弁護士法72条の制約

管理業者が賃料回収を行う場合、弁護士法72条に注意が必要です。

  • 管理受託方式:管理会社は「貸主代理」で手続きを行うため、貸主名義での内容証明郵便は可能ですが、管理会社名義では違法の可能性があります。
  • サブリース方式:管理会社が貸主となるため、自社名義で回収が可能です。

この違いは実務でも重要であり、試験対策でも押さえるべきポイントです。


試験対策で押さえるべきポイントまとめ

  • 弁済の充当の優先順位(合意→債務者指定→債権者指定→法定充当)
  • 弁済供託が認められるケース(受領拒否・受領不能・債権者不確知)
  • 賃料自動改定特約の有効性と無効となる場合
  • 借地借家法32条の賃料増減請求権と特約の効力
  • 定期借家契約における特約優先の原則
  • 自力救済が禁止されている理由と判例の結論
  • 管理方式と弁護士法の関係

まとめ

賃料の改定と回収は、賃貸借契約の最重要テーマの一つです。トラブルが多発する分野であるため、実務と法律の双方を正しく理解しておくことが、賃貸不動産経営管理士としての信頼につながります。

宅建士としての知識を活かしながら、今年の試験では「弁済・供託・増減請求・自力救済禁止」といった論点を徹底的に押さえ、合格に近づけるよう学習を進めていこうと思います。


コメント

タイトルとURLをコピーしました