2025年度の賃貸不動産経営管理士試験が終了しました。今年の試験は、制度が安定してきたことで出題傾向がより実務寄りにシフトした印象です。本記事では、今年の試験の総評、難易度、科目別講評、そして来年の対策ポイントをまとめてお伝えします。
今年の試験の総評
今年の難易度は「やや難化」という印象でした。
特に、民法（賃貸借）や原状回復ガイドライン、借地借家法で細かい内容が問われ、過去問だけでは対処しづらい問題が増えました。
一方、管理業法や基本論点は標準レベルで、基礎を固めている受験生には得点しやすい部分も多く見られました。
科目別の講評
民法（賃貸借）
・修繕義務、敷金、原状回復など定番論点が多数
・2020年民法改正を踏まえた細かい出題が増加
・判例ベースの選択肢が増え、やや難化
過去問で基礎を固めつつ、テキストの細部まで理解しておく必要がある内容でした。
借地借家法
・定期借家の書面要件や通知義務は必出
・更新・終了の扱いに関する細かい数字を問う問題も
例年通りの出題ではあるものの、条文の読み込みが不足していると取りこぼしやすい内容でした。
賃貸住宅管理業法（管理業務）
管理受託契約、重要事項説明、管理計画認定制度といった新制度に関連した実務問題が中心でした。
・登録拒否事由
・管理戸数基準
・再委託のルール
など条文ベースの問題が多く、テキスト学習をしっかりしていれば得点源になった分野です。
原状回復ガイドライン
今年の特徴的なポイント。
問われた主な内容は以下の通り：
・通常損耗と経年変化の判断
・特約の有効要件
・過失による損耗の取り扱い
ガイドラインの理解をしっかりしていないと難易度が高かったと考えられます。
建築基準法・その他法令
条文の正確な理解が必要な出題が多く、問題文も長め。
慣れていないと時間を奪われる問題が多い印象でしたが、内容自体は例年通りでした。
今年の特徴的な出題傾向
・民法改正の細かい論点が頻出
・管理受託契約の実務を踏まえた問題
・ガイドライン類（原状回復・死の告知）が深堀りされる傾向
暗記だけではなく、実際の現場でどう判断するかという“思考”が求められる試験に進化しています。
2025年の合格ライン予想
※公式発表前の推測です。
様々な予備校などが発表されている合格ラインは31〜38点とかなり割れています。個人的には、難しかったと感じるものの、昨年より解きやすい問題もあったことから昨年よりはやや高くなると予想します。
来年の受験生へのアドバイス
来年に向けては以下の学習が効果的です。
・過去問＋条文のセット学習
・ガイドライン類（原状回復・死の告知）は必読
・民法の判例知識は解説まで丁寧に読む
特に管理業法とガイドラインは今後も重点分野であるため、深く学習することをおすすめします。
まとめ
2025年度の賃貸不動産経営管理士試験は、全体としてやや難化し、実務的な思考を求められる試験でした。
とはいえ、傾向は明確で、基礎固めと実務理解を両立できれば十分に合格を狙える内容です。
来年の受験を予定している方は、本記事を参考に学習方針を立ててみてください。
