宅建試験受験者の皆さん、こんにちは。
今回は「都市計画法」における重要テーマ、「開発許可制度」について解説していきます。
この制度は都市計画に基づいた整備を妨げないために設けられた規制であり、宅建試験でも頻出の分野です。
特に、開発行為の定義、特定工作物の分類、許可が不要な例外など、細かい内容が多く出題されますので、例題も交えてしっかり確認していきましょう。


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開発許可制度の目的と概要
都市計画区域内で無秩序な開発が行われると、計画的な街づくりが崩れてしまいます。
そのため、都市計画に反する開発を未然に防ぐ目的で導入されたのが開発許可制度です。
この制度により、一定の開発行為を行う際には、原則として都道府県知事(または指定都市の市長)の許可を受ける必要があります。
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開発行為の定義とは?
開発行為とは、建築物の建築や特定工作物の建設を目的として、土地の区画形質を変更する行為を指します。
ここで重要なのが、「区画」「形」「質」の3つの要素です。
- 区画の変更:道路や公園の設置などを伴う区画整理(分筆は含まない)
- 形の変更:盛土や切土などによる地形の変更
- 質の変更:田畑を宅地にするなど、土地の利用目的を変更すること
例題1
宅地にするために盛土を行った行為は開発行為に該当するか?
A. 該当する
B. 該当しない
正解 → A

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特定工作物とは?(第1種・第2種の違い)
開発行為には建築物だけでなく、「特定工作物」も含まれます。これには2種類あります。
第1種特定工作物
- 周辺環境に悪影響を及ぼすおそれのあるもの
- 例:コンクリートプラント、アスファルトプラント、危険物貯蔵庫など
第2種特定工作物
- 第1種に該当しないが、大規模な運動・レジャー施設等
- 例:1ha以上の野球場、テニスコート、遊園地、墓園など
※ゴルフコースは面積にかかわらずすべて第2種扱い
例題2
8,000㎡のテニスコートを建設するための土地造成は、開発行為に該当するか?
A. 該当する
B. 該当しない
正解 → B(1ha未満のため該当しない)

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開発許可が不要な3つの例外
原則として、開発行為には都道府県知事の許可が必要ですが、以下の3つに該当する場合は例外として許可が不要です。
① 小規模な開発行為
面積基準で判断され、地域ごとに異なります。
- 市街化区域:1,000㎡未満(東京23区・大阪・名古屋圏では500㎡未満)
- 区域区分なしの都市計画区域・準都市計画区域:3,000㎡未満
- 区域外:1ha未満
※市街化調整区域では、面積にかかわらず許可が必要!
② 公益上必要な建築物を建てる開発行為
例:駅舎、図書館、公民館、博物館、変電所など
※学校・医療・福祉施設は該当しないため、許可が必要
※ただし、これらも小規模開発に該当する場合は許可不要
③ 農林漁業用の建築物を建てるための開発行為
例:サイロ、畜舎、温室、農家住宅など(加工・貯蔵施設は除く)
※ただし市街化区域では、たとえ農業用でも許可が必要
例題3
市街化区域で900㎡の畜舎を建てるための土地造成は、許可が必要か?
A. 必要である
B. 不要である
正解 → A(市街化区域では面積にかかわらず農業用でも許可が必要)
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国や都道府県等が行う開発行為の特例
国や地方公共団体が行う開発行為については、都道府県知事との協議が成立すれば、開発許可があったものとみなされます。
これは都市計画法第34条の2に基づいており、宅建試験でも頻出です。
なお、上記の例外(小規模・公益上必要・農業用など)に該当する場合は、協議すら不要です。

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試験対策まとめとポイント
この分野で押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 開発行為とは、土地の区画形質を変えて建築物や特定工作物を建てる行為
- 特定工作物は、第1種(環境悪化の恐れ)と第2種(1ha以上のレジャー施設等)
- ゴルフコースは面積にかかわらず第2種特定工作物に該当
- 開発許可の例外には3種類(小規模・公益建築物・農業用)
- 市街化調整区域は、すべて許可必要
- 国や都道府県等の開発は、協議で許可があったものとみなされる
過去問でよく出るのは、「どのケースが開発行為に該当するか」「許可が必要かどうか」の判断問題です。
まずは開発行為にあたるかどうか、次に例外に該当するかの「二段階チェック」で考える癖をつけましょう!
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