宅建試験の合格を目指す皆さん、こんにちは。
今回は、将来不動産のプロとして活躍する上で避けては通れない「住宅ローン」の最新戦略について、非常に示唆に富むニュースを基に解説します。東京23区の新築マンション平均価格が1億円を超えるなど、都心でのマイホーム購入はもはや夢のまた夢と感じる方も多いかもしれません。しかし、こちらの記事では「年収1000万円未満でも、住宅ローン戦略を駆使すれば購入は不可能ではない」と指摘しています。この戦略の仕組みと、そこに潜むリスクを理解することは、宅建士にとって不可欠な知識です。

都心マンション価格高騰の現実
まず、現在の市場がいかに厳しい状況かを確認しましょう。首都圏の新築マンション価格はここ数年で急騰し、特に東京23区では平均価格が1億1000万円を超える水準に達しています。この価格上昇は中古市場にも波及しており、都心5区では70㎡換算で1億5000万円を超えるなど、一般的な会社員の年収では到底手が届かない状況が生まれています。しかし、資産価値の観点から都心物件への需要は根強く、このジレンマを解決する鍵が住宅ローンにあるのです。

ローン戦略① 低金利「変動金利型」の活用
高額物件を手に入れるための一つ目の戦略は、金利の低い住宅ローンを選ぶことです。具体的には、金利が2%前後であることの多い「全期間固定金利型」に対し、0%台の低金利で借り入れが可能な「変動金利型」を活用する方法です。
記事の試算によれば、1億円を借りる場合、金利2.0%では必要な年収が1,136万円ですが、金利1.0%なら968万円、0.5%なら890万円まで下がります。このように、低金利の変動型を選ぶことで、年収1000万円未満でも「億ション」の購入が現実的な選択肢に入ってくるのです。

ローン戦略② 超長期「50年返済」という選択肢
二つ目の戦略は、返済期間を長く設定することです。変動金利型は将来の金利上昇リスクが怖い、でも安全な固定金利型では金利が高くて借りられない…という場合に有効な手段です。従来、住宅ローンの最長返済期間は35年が一般的でしたが、現在では多くの金融機関が「50年返済」のプランを用意しています。
返済期間を35年から50年に延ばすことで、毎月の返済額を抑えることができます。例えば、金利2.0%で1億円を借りる場合、35年返済では年収1,136万円が必要ですが、50年返済にすれば必要年収は904万円まで下がり、年収1000万円の壁をクリアできるのです。

宅建士が説明すべき「リスク」と「対策」
ここからが宅建士の腕の見せ所です。これらの戦略は、顧客の夢を叶える力がある一方で、重大なリスクも内包しています。
「変動金利型」には、将来の金利上昇によって返済額が増加する金利変動リスクがあります。
「50年返済」には、毎月の負担は軽くとも、利息を含めた総返済額が大幅に増加するリスクや、完済年齢が高齢になり老後破綻につながるリスクがあります。
宅建士は、これらのリスクを明確に説明し、対策として「繰り上げ返済」を計画的に行い、総返済額の圧縮と返済期間の短縮を目指すことの重要性を伝えなければなりません。これは、顧客保護の観点から極めて重要な説明義務です。

知識を武器に顧客の未来を設計する
今回ご紹介したローン戦略は、宅建試験の「税・その他」の分野で学ぶ知識の、まさに実践的な応用編です。変動金利と固定金利の違い、返済期間と総返済額の関係、繰り上げ返済の効果。これらの知識を正しく理解し、顧客一人ひとりのライフプランに合わせて最適な提案を行うこと。それが、これからの宅建士に求められる役割です。顧客の人生で最も大きな買い物に寄り添い、その未来を明るく設計する。そのための強力な武器が、皆さんが今まさに学んでいる知識なのです。
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