住宅価格高騰と持ち家率低下が示す、グローバルな住宅問題
「マイホームは一生に一度の大きな買い物」と言われてきましたが、近年その前提が揺らいでいます。日本だけでなく、世界の主要都市でも住宅価格が高騰し、一般的な所得層にとって持ち家取得が難しくなるという現象が広がっています。
今回のニュースをもとに、世界の住宅事情と日本への影響を整理します。
東京23区のマンション価格は1億円超が当たり前に
不動産経済研究所によると、2025年上半期の東京23区における新築マンション平均価格は約1億3,000万円に達しました。これは一部の高級物件に限った話ではなく、平均値としての水準です。
この価格上昇は日本独自の現象ではありません。
- ニューヨーク
- ロンドン
- パリ
といった世界有数の都市では、不動産価格が約2億円規模になるケースも珍しくありません。
コロナ後のインフレが住宅価格を押し上げた
世界的な住宅価格高騰の背景には、コロナ後のインフレ加速があります。
- 建築資材の価格上昇
- 人件費の高騰
- 金融緩和からの反動による金利変動
これらが重なり、住宅価格だけでなく家賃も上昇しました。
アメリカ・ニューヨークでは、家賃高騰への不満が政治にも影響し、「家賃値上げ凍結」などを掲げる候補が市長選で支持を集めたと指摘されています。住宅問題が社会問題化している象徴的な事例といえるでしょう。
持ち家率は先進国で軒並み低下
住宅価格の上昇は、特に若い世代に影響を与えています。
日本の持ち家率の変化
総務省データをもとにすると、
- 30~49歳の持ち家率
- 2008年:51.3%
- 2023年:48.7%
と、約2.6ポイント低下しています。
海外でも同様の傾向
OECDの統計を見ると、持ち家率の低下は日本だけではありません。
- カナダ:▲5.9ポイント
- オーストラリア:▲4.2ポイント
- イギリス:▲3.9ポイント
と、先進各国で共通した流れが確認されています。
背景にある「買えない」だけではない要因
持ち家率低下の理由は、単純に「住宅価格が高いから」だけではありません。
専門家の分析では、次のような要素も指摘されています。
- 晩婚化・未婚化による購入時期の後ろ倒し
- 賃金の伸び悩み
- 将来の年金・社会保障に対する不安
- 家を持つこと自体への価値観の変化
日本では特に、将来不安から大きなローンを組むことを避ける心理が、持ち家需要を抑えている可能性があります。
資産を持つ人と持たない人の「格差」も拡大
住宅価格の上昇は、すべての人にとって悪いニュースとは限りません。
- すでに不動産を所有している人
- 投資用不動産を保有している人
にとっては、資産価値の上昇というメリットがあります。
一方で、
- 若年層
- 資産形成の初期段階にいる人
にとっては、住宅取得のハードルが上がり、資産形成の機会そのものが遠のく結果となっています。
この「住宅を持てる層」と「持てない層」の分断は、世界的に共通した課題となりつつあります。
日本の住宅市場はどこへ向かうのか
今後、日本では次のような動きが予想されます。
- 新築住宅は富裕層・投資マネー中心
- 中古住宅市場の重要性がさらに高まる
- 賃貸と持ち家の中間的な住まい方の拡大
住宅ローン減税の拡充や中古住宅支援策など、政策面での後押しはあるものの、「普通に働いていればマイホームが買える」時代には戻らない可能性もあります。
まとめ:マイホームは「当たり前」から「選択肢」へ
住宅価格の高騰と持ち家率の低下は、日本だけでなく世界共通の現象です。
マイホームはもはや誰もが当然に手にするものではなく、ライフプランの中で慎重に選ぶ「選択肢の一つ」になりつつあります。
これからは、
- どこに住むか
- 所有するか、借りるか
- 住宅と資産形成をどう結びつけるか
を、これまで以上に戦略的に考える時代と言えるでしょう。


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