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宅建試験に必須の連帯債務の基本から効力・求償権まで徹底解説

宅建
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分割債務・不可分債務との違いと絶対効・相対効の判断、求償権の行使条件まで例題で完全理解

宅建試験では「連帯債務」に関する問題が高頻度で出題されます。分割債務や不可分債務との違いを理解し、連帯債務の効力、絶対効・相対効の区別、さらには債務者間の求償関係までしっかりと把握することが重要です。

本記事では、連帯債務の定義から効果、他の債務との比較、さらには試験に出やすい例題まで網羅的に解説していきます。

多数当事者の債権・債務の基本

分割債権・分割債務とは?

分割債務とは、債務の目的が可分なもので、複数人が債務者となっている場合に、特約がなければ各債務者がその持分割合で支払うというものです。

【例】Aが所有する建物を、BとCが共同で購入し、代金が1,000万円の場合、BとCが分割債務者なら、それぞれ500万円ずつ支払う義務を負います。

不可分債権・不可分債務とは?

債務の目的が性質上分割できない場合に生じるのが不可分債務です。不可分債務では、債権者は債務者全員に、またはその一部に対して全部の履行を請求できます。

【例】BとCが共同で甲建物を購入し、その引渡しをAに請求する場合、建物の引渡しは分割できないため、BはAに対して全体の引渡しを請求可能です。

連帯債務の定義と性質

連帯債務とは、債務の目的が可分であるにもかかわらず、契約または法律の規定によって複数の債務者が互いに連帯して債務を負担する形態です。

  • 債権者は誰にでも全額請求できる
  • 一部請求や順次請求も可能
  • 法律の規定で当然に連帯債務になる場合もある(例:共同不法行為)

【例】AがBとCに対して100万円を貸し付け、連帯債務契約を結んだ場合、AはBにもCにも100万円全額の請求ができます。

連帯債務の効力とは?

絶対効が生じるもの

以下の行為については、1人の連帯債務者の行為が他の債務者にも影響を与えます。
1. 弁済(代物弁済・供託含む)
 → 債務全体が消滅します。
2. 相殺
 → 一人の債務者が反対債権で相殺すれば、全体の債務が消滅。
3. 更改
 → 新たな債務に切り替えた時点で、元の債務全体が消滅。
4. 混同
 → 債務者が債権者の地位を兼ねたとき、全体の債務が消滅。

相対効しか生じないもの

以下は、該当する債務者にのみ効力が及び、他の連帯債務者には影響しません。

  • 債権の請求
  • 免除されたとき
  • 時効の完成または時効利益の放棄

【例】AがBに対して時効を援用しても、Cには影響しません。

連帯債務者間の求償権とは?

1人の連帯債務者が全額または自分の負担部分を超えて弁済した場合、他の債務者に対してその超過分を請求できます。

【例】BとCが連帯債務者で、負担割合は50:50。BがAに100万円全額を弁済した場合、BはCに対して50万円を求償できます。

【補足】求償の対象となる行為には、弁済・代物弁済・更改・相殺・供託・混同が含まれます。

例題で理解を深めよう

例題1:次のうち、連帯債務に関する記述として正しいものはどれか?

ア.連帯債務は、債務が不可分なときに当然に生じる
イ.連帯債務者の1人が相殺をすれば、その者の債務だけが消滅する
ウ.連帯債務者の1人に債務の免除があった場合、他の連帯債務者にも影響する
エ.連帯債務者の1人が全額を支払った場合、他の債務者に求償できる

正解:エ

例題2:連帯債務に関して、絶対効が生じないものはどれか?

ア.弁済  イ.相殺  ウ.混同  エ.債権免除

正解:エ

例題3:BとCがAに100万円の連帯債務を負う。負担割合はB:C=70:30。Bが全額を弁済した場合、Cに対する求償額は?

ア.30万円 イ.50万円 ウ.70万円 エ.100万円

正解:ア(Cの負担部分)

まとめ

宅建試験で出題される連帯債務に関して、重要なポイントは以下の通りです。

  • 分割債務・不可分債務との違いを明確にする
  • 弁済・相殺・更改・混同は絶対効、それ以外は相対効
  • 債務者間の求償関係は内部的な負担割合に基づいて計算
  • 行使される行為によって他の債務者への影響が異なる
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