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宅建試験で頻出の保証債務を徹底マスター〜普通保証と連帯保証の違いから抗弁権・個人根保証契約の極度額・情報提供義務まで例題付きで完全解説〜

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宅建試験では、保証債務に関する出題が定番です。特に普通保証と連帯保証の違い、保証人の権利(抗弁権)、求償権、さらには個人根保証契約の要件や極度額など、細かいポイントまで問われるため、正確な理解が求められます。

この記事では、保証債務の基本から実務で問われる条文知識、そして試験対策として欠かせない例題まで、徹底的に解説していきます。

保証債務の基本と成立要件

保証とは何か?

保証とは、主たる債務者が債務を履行できない場合に、その履行を代わりに行う義務を負う制度で、その義務を負う者を「保証人」といいます。

  • 保証契約は保証人と債権者との契約で成立
  • 書面(または電磁的記録)によらなければ無効(要式契約)
  • 主たる債務者の委託がなくても保証契約は有効

保証人の責任の範囲と制限

保証債務は、主たる債務に従属する性質を持ちます(付従性・随伴性)。つまり、主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅します。

保証人が負う債務の範囲:

  • 主たる債務の元本
  • 利息・遅延損害金・違約金
  • 原状回復義務等の付随義務

ただし、保証人の責任は主たる債務より重くなることはなく、重い場合は主たる債務の限度に減縮されます。また、債務の加重が後からなされた場合でも保証人の負担は加重されません。

保証人に認められる抗弁権

普通保証においては、保証人には「補充性」があり、以下の抗弁権が認められます。

催告の抗弁権

債権者から直接請求を受けた場合、保証人は「まず主たる債務者に請求するように」と主張できます。

検索の抗弁権

主たる債務者に弁済資力があり、容易に執行可能な財産があることを証明できれば、まず主たる債務者の財産に執行すべきと主張できます。

※これらの抗弁権を行使しても、債権者が主債務者に請求等を怠った場合、保証人はその範囲で責任を免れます。

連帯保証の特則と制限

「連帯保証」は、契約により保証人が主たる債務者と連帯して責任を負う形態です。連帯保証には補充性がないため、次の抗弁権は認められません。

  • 催告の抗弁権
  • 検索の抗弁権

そのため、債権者は弁済期に直接連帯保証人に全額請求でき、連帯保証人はそれを拒むことができません。

※連帯保証契約も書面や電磁的記録が必要です。

保証に生じる効力とその相互関係

保証人に生じた事由の効果

  • 保証人が弁済・相殺・更改・混同を行った場合、主たる債務も消滅
  • ただし、これら以外の事由(例:時効の援用など)は、主たる債務に及ばない

主たる債務者に生じた事由の効果

  • 履行の請求、時効の完成猶予・更新等は、保証人にも効力が及ぶ
  • 抗弁(同時履行の抗弁など)や相殺・解除権等も保証人が援用可能

分別の利益とは?連帯保証との違い

分別の利益とは、複数の保証人がいる場合に、それぞれが等しい割合で責任を負うという原則です。

  • 普通保証:保証人は人数に応じて分割して負担(例:3人なら1/3ずつ)
  • 連帯保証:分別の利益なし。各人が全額の責任を負う

※保証連帯の特約があると、普通保証でも分別の利益は認められません。

情報提供義務とは?

債務履行状況の開示

主たる債務者からの委託を受けた保証人が請求すれば、債権者は、遅滞なく債務の履行状況や残高等を提供しなければなりません。

期限の利益喪失の通知

主たる債務者が期限の利益を失ったとき、債権者はその事実を知ってから2ヶ月以内に保証人へ通知が必要です。これを怠ると、その間に発生した遅延損害金について保証人に請求できません。

※この通知義務は法人保証人には課されません。

保証人の求償権とは?

主たる債務者からの委託により保証した保証人は、実際に弁済や供託などの債務消滅行為を行った場合、その支出分について求償できます。

  • 弁済額
  • 支払日以降の利息
  • 必要費用、避けられなかった損害 など

個人根保証契約の特則

意義と成立要件

個人根保証とは、法人でない保証人が、特定の範囲に属する不特定の債務を担保する契約です。

  • 書面または電磁的記録が必要
  • 必ず「極度額の定め」が必要(ないと無効)

極度額の定め

  • 上限金額を契約書で明示する必要あり
  • 極度額が定められていない契約は無効

元本の確定

以下の場合に元本が確定し、それ以降に発生した債務は保証の対象外になります。
1. 保証人の財産に対する強制執行または担保権の実行があったとき
2. 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
3. 主たる債務者または保証人が死亡したとき

実力チェック!例題で理解を確認

例題1:次のうち、普通保証人に認められる権利として正しいものはどれか?

ア.催告の抗弁権
イ.検索の抗弁権
ウ.解除の抗弁権
エ.時効の援用

正解:ア、イ

例題2:連帯保証契約に関する記述として正しいものはどれか?

ア.分別の利益がある
イ.検索の抗弁権を主張できる
ウ.全額について債権者から請求される
エ.書面がなくても効力が生じる

正解:ウ

例題3:次のうち、個人根保証契約が無効となるものはどれか?

ア.極度額を記載しなかった
イ.契約書がPDFファイルで締結された
ウ.債務者が法人であった
エ.保証人が法人であった

正解:ア

まとめ

保証債務に関する宅建試験の出題は、知識の正確さが得点に直結します。以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

  • 保証契約は書面が必須。連帯保証と普通保証の違いを明確に
  • 催告・検索の抗弁権は普通保証にのみ認められる
  • 個人根保証には極度額の定めが必須、元本確定時の保証範囲に注意
  • 情報提供義務と求償権の発生条件も頻出テーマ

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