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【宅建受験者必見】鉄筋価格が3年ぶり安値に マンション建設停滞の背景と今後の市場予測

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宅建試験の合格を目指す皆さん、こんにちは。

今回は、不動産市場の川上、すなわち「建設」の世界で起きている重要な変化について解説します。マンションなどの鉄筋コンクリート(RC)造の建物に不可欠な「異形棒鋼(いけいぼうこう)」、いわゆる鉄筋の国内価格が、約3年ぶりの安値水準まで下落しているというニュースです。なぜ、建設資材の価格が下がっているのか。その背景を読み解くことは、新築不動産の価格動向や、建設業界全体の体温を知る上で非常に重要です。

なぜ鉄筋は値下がりしているのか?弱い需要の実態

鉄筋価格が下落している最大の理由は、建設現場からの「需要が弱い」ことにあります。RC造マンションの着工が、特に中小規模の案件で遅れがちになっているのです。その背景には、2つの深刻な問題があります。

一つは、左官や電気工事などを担う専門職人の人手不足。これにより、工事のスケジュールが遅延・長期化しています。

もう一つは、近年の猛暑です。現場での休憩時間を増やす必要があり、作業効率が低下。これも工事の遅れにつながり、結果として鉄筋の需要を押し下げています。事実、RC造の建物の着工床面積は減少傾向にあり、需要予測も過去最低水準となっています。

原料「鉄スクラップ」価格下落という追い打ち

需要の弱さに加え、鉄筋の原料である「鉄スクラップ」の価格が下がっていることも、鉄筋価格の下落に拍車をかけています。鉄筋自体の生産が低調なため、原料である鉄スクラップの需要も鈍っています。また、安価な中国産の鉄鋼製品が市場に出回っていることも、国内の鉄スクラップ需要を奪う一因となっています。

価格下落を加速させる「負の循環」

現在の市場では、価格下落をさらに加速させる「負の循環」とも言える構図が生まれています。

① 原料の鉄スクラップ価格が下がる

② それを見たゼネコン(建設会社)が「もっと鉄筋を安くできるはずだ」と値下げを要求する

③ 鉄筋メーカーは値下げに応じざるを得ず、鉄筋価格が下がる

④ 利益が減った鉄筋メーカーは生産意欲を失い、生産量を減らす

⑤ 鉄筋の生産が減ることで、原料である鉄スクラップの需要がさらに減り、価格が下がる(①に戻る)

このように、原料安が製品安を呼び、製品安がさらなる原料安を呼ぶというスパイラルに陥っているのです。

秋以降の価格反発はあり得るか?再開発への期待

では、このまま価格は下がり続けるのでしょうか。市場では、秋以降の価格反発を期待する声もあります。その理由は、東京都心部を中心に、2026年度にかけて大規模な再開発案件の着工が相次いで見込まれているからです。

高層ビルの多くは鉄骨造ですが、建物を支えるための基礎工事(地中に打ち込む杭など)の段階では、大量の鉄筋が使われます。これらの大型案件の鉄筋発注が秋ごろから始まれば、需要が回復し、価格が底を打って反発に転じるのではないか、と期待されているのです。

建設資材の価格動向が不動産市場に与える意味

私たち宅建士を目指す者にとって、このニュースは重要な示唆を与えてくれます。建設資材の価格は、新築不動産の販売価格を決定づける大きな要因です。鉄筋価格の下落は、一見すると建築コストの低下につながり、マンション価格が下がる良いニュースに見えるかもしれません。

しかし、その背景には「人手不足による工期の遅れ」という深刻な問題が隠されています。資材が安くなっても、人件費が高騰すれば、トータルの建築コストが下がるとは限りません。不動産の価格動向を予測する際には、こうした資材と人件費、両方の動きを注視する複眼的な視点が不可欠なのです。

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