不動産業界で再び問題化している「住宅ローン不正利用」。2023年に、投資目的を隠して住宅ローンを申し込ませ、金融機関から融資金を詐取したとして、男女16人が逮捕されました。本件は、宅建試験の学習範囲である 「住宅ローンの適正利用」「媒介業者の倫理」 にも関連する重要なニュースです。
本記事では、事件の概要・手口・背景・宅建試験でのポイントをまとめて解説します。
事件の概要|“自宅購入”を装って不動産投資のローンを取得
逮捕された16人は、不動産会社役員を含む20~40代の男女。
住宅ローンは「居住目的」に限られるにもかかわらず、若者に投資用物件を自宅として申請させ、複数の金融機関から総額約3億円の融資を詐取したとされています。
ポイントは以下の通りです。
- 若者に“自宅購入”を装わせて住宅ローンを申請
- 実際には投資目的の戸建て新築・賃貸運用
- 融資金はグループに流れる仕組み
- 請負・建築費は実際より大幅に安くして差額を利益化
- SNS上の会話では「数百件の不正申込があった可能性」も
宅建士として関われば重大な法令違反に直結する典型例といえるでしょう。
手口① 年収を“水増し”する「ふかし」
本件で最も悪質とされるのが 年収の偽装 です。
- 本来の年収が500万円
- ↓
- 副業収入を偽造し、源泉徴収票で700万円に見せかける
- ↓
- 税務署に偽りの確定申告を提出
- ↓
- 課税証明書まで整え金融機関に提出
年収の水増しは詐欺罪の典型行為であり、不動産業界ではかつて横行していた問題です。
手口② 若者を勧誘し“詐欺に加担させる”構造
・「紹介役」
・「源泉徴収票などの偽造担当」
・「金融機関担当」
など役割を分業化し、申込者本人には「手続きは専門家がやる」と安心させて誘導。
実例を見せて「必ず利益が出る」と説明し、若者の不動産知識の乏しさにつけ込みました。
結果、申し込みを取り消しても 詐欺未遂で書類送検される若者も出る など、被害者が加害者に仕立てられるケースも発生しています。
背景にあるもの|ローン規制の隙と“儲かりそうに見える”宣伝
不動産投資セミナーを軸にした勧誘が増えており、
- 「家賃収入が返済額を上回る」
- 「副業収入として安全」
- 「節税になる」
といった甘い言葉で若者が誘われています。
また、金融機関側も「トラブルを嫌って被害届を出さない」ケースがあり、不正が発覚しにくい構造も問題視されています。
宅建試験で重要なポイント
今回の事件から、宅建試験で特に押さえたいのは次の点です。
① 住宅ローンは居住用が原則(投資目的は不可)
→ 投資用物件は“投資用ローン”を利用する必要があります。
② 虚偽の申込書は詐欺罪(宅建業者が関与すれば重い処分)
虚偽記載に関与した宅建業者は、
業務停止・免許取消の対象 となり得ます。
③ 媒介業者は契約内容の適正性を確認する義務
申込人の意思確認・資金計画の真偽確認も安全確保措置の一部です。
不正に巻き込まれないために|3つの注意点
(1)「必ず儲かる」は基本的に危険信号
不動産投資は収益変動があるため、「保証される利益」は存在しません。
(2)源泉徴収票・確定申告書の“偽造持ちかけ”は即アウト
「みんなやっている」は犯罪への誘導です。
(3)宅建士としては“説明責任の徹底”が必須
ローンの仕組み・不正のリスクを客に説明する義務があります。
まとめ|不動産投資をめぐる違法スキームが再び増加中
今回の摘発は“氷山の一角”とみられており、不正な住宅ローン申請は再び増加傾向にあります。
宅建士は、顧客の資金計画の適正性を確認し、不正に巻き込まれないよう指導する立場にあります。
宅建試験でも住宅ローンは頻出のため、以下を確実に押さえましょう。
- 住宅ローンは居住用
- 虚偽申告は詐欺罪
- 宅建業者は適正な取引の確保義務あり
事件を知識として取り込み、業務でも試験でもしっかり対応できるよう準備していきましょう。

