マンションの駐車場代を貸主が一方的に値上げし、異議を唱えた借り主を排除しようとした行為について、東京地裁が「違法」と判断し、貸主である不動産会社に約13万円の支払いを命じたというニュースが報じられました。
本件は「駐車場は借地借家法の保護対象外である」点が争点となりましたが、裁判所は法的手続きを経ずに利用を排除しようとした行為そのものが違法だと判断しました。
本記事では、
- 判決内容のポイント
- 駐車場契約と借地借家法の関係
- 一方的値上げはどこまで許されるのか
- 値上げトラブルの対処法
- を分かりやすくまとめます。
1. 判決の概要 ― 一方的値上げ&利用排除は違法
判決(2025年11月27日付)によると、東京都新宿区の賃貸マンションに住む男性は、不動産会社から以下の対応を受けていました。
■ トラブルの経緯
- 2023年6月
- → 賃料+駐車場代を約4万円値上げする通知
- 交渉の結果、翌月から2万5千円の値上げで合意
- 2024年2月
- → 駐車場代を月5,500円増額すると一方的に通知
- 4月
- → 合意なく2カ月分が自動引落しされる
- 借り主が返金要求
- → 不動産会社は**「駐車場契約を解除する」と主張**
裁判所はこれらについて、
▶ 法的手続きを踏まずに排除しようとしたのは違法
とし、約13万円の損害賠償を命じました。
2. 駐車場契約には借地借家法が適用されない?
男性の代理人によれば、
建物に付随する駐車場であっても、駐車場契約そのものは借地借家法の「建物賃貸借」には原則該当しません。
そのため、
- 正当事由が必要
- 契約解除に厳格なルールがある
といった保護が、駐車場単体契約には基本的に及ばないケースが多いとされています。
▶ よくある誤解
「住居を借りているから、駐車場も同じように保護される」
→ 必ずしもそうではないのが実務です。
ここを誤解して、貸主側が値上げ交渉の材料に駐車場の解除を使うケースが実際にあります。
3. 一方的値上げはどこまで許されるのか
駐車場契約が借地借家法の保護対象外であっても、
貸主が自由に値上げできるわけではありません。
■ 一方的な値上げが無効となる可能性が高い例
- 合意なく引き落とす
- 値上げ拒否を理由に利用停止
- 説明なし・理由なしに大幅値上げ
- 事前の協議をせず一方的通知のみ
■ 有効とされやすいケース
- 契約書に「金額改定の可能性」条項がある
- 市況変動など合理的理由がある
- 事前に協議し、双方合意により改定
今回の判決は、手続きの欠如と排除行為の強引さが違法とされたもので、
「駐車場は借地借家法の保護外だから、何をしても良い」
という誤った理解に釘を刺した形といえます。
4. 駐車場の値上げを迫られた場合の対処法
① 契約書の確認
- 「使用料改定条項」があるか
- 駐車場が住居契約に付帯しているか
- 解約条件の記載
② 理由を求める
合理的な説明がなければ、値上げは正当性を欠きます。
③ 合意しない限り支払わない
勝手な引き落としは本来許されず、返金請求が可能。
④ 利用停止を示されたら、法的助言を求める
無断排除は違法となる可能性が高いです。
⑤ トラブルが拡大している場合は、弁護士へ相談
少額でも、専門家に相談することで交渉がスムーズになります。
5. まとめ ― 駐車場契約でも貸主の“やりすぎ”は違法
今回の判決のポイントは、
駐車場契約は借地借家法の対象外でも貸主が強引に排除する行為は違法
という部分です。
駐車場契約は軽視されがちですが、法律的には「賃貸借契約の一種」であり、貸主には信義則に基づく説明義務・手続きが求められます。
値上げトラブルは増えているため、契約の内容をよく理解し、不当な要求には冷静に対応することが重要です。

