こんにちは!賃貸不動産経営管理士の学習を進める中で「賃貸住宅管理」と「宅建業法」の関係は範囲が広く混乱しやすいと感じました。この記事では、契約の流れや宅建業法の規制との違いを整理し、例題も交えて試験対策に役立つポイントをまとめます。
リンク
賃貸住宅管理の意味
「賃貸住宅管理」という言葉は広い意味を持ちます。
- 賃貸人から委託を受け、契約の準備から終了まで一連の業務を行うこと
- 宅建業者でもある管理業者が行う、賃貸借契約の媒介業務
- 賃貸住宅管理業法における「管理業務」
- 賃貸住宅の維持保全(点検・清掃・修繕など)
- 家賃・敷金・共益費等の金銭管理
- 賃貸経営支援業務(オーナーへの助言や提案など)
👉 特に①②は宅建業法との関係が重要になります。

契約の流れにおける管理業務
- 契約前:入居者募集の提案、空室管理、リフォーム提案、入居者審査、入居立会い
- 契約期間中:賃料収納・送金・督促、維持保全、クレーム対応、定期報告、賃料改定交渉
- 更新・再契約:賃借人の意思確認、条件変更交渉
- 契約終了:退去立会い、原状回復協議、敷金精算
- 共用部分管理:清掃・点検・修繕・防犯対応
👉 専用部分だけでなく共用部分の管理も重要です。

宅建業法と賃貸住宅管理の関係
- 媒介・代理を業として行う場合 → 宅建業法の免許が必要
- サブリース方式 → 宅建業法の免許不要(業者自身が貸主となるため)
- 管理受託方式で媒介・代理を行う場合 → 宅建業法の免許が必要

宅建業法上の規制
管理業者が宅建業者でもある場合、以下の規制を受けます。
- 媒介契約に関するルール
- 報酬の上限制限(家賃1か月分+消費税)
- 重要事項説明義務
- 37条書面交付義務
- 広告規制
👉 賃貸住宅管理業法と宅建業法の両方が適用されるケースがあるため注意が必要です。

報酬ルールの整理
- 媒介の場合
貸主・借主からの合計で「家賃1か月分+消費税」まで。
居住用建物は承諾がなければ各0.5か月分まで。 - 代理の場合
依頼者からは家賃1か月分まで。
相手方からも受領する場合、合計で家賃1か月分を超えられない。 - 複数業者が関与
全業者の合計で1か月分が上限。 - 広告費
通常の広告費は報酬に含まれる。依頼者の特別依頼による高額広告のみ別途請求可能。

障害者差別解消法との関係
宅建業者・管理業者は障害者差別解消法の規制を受けます。
- 禁止される差別例
・広告に「障害者不可」と記載
・障害を理由に内覧や仲介を拒否
・障害者にだけ敷金・保証金を多く請求
・本人を無視して介助者のみに対応 - 適切な対応例
・障害の状況を確認し合理的配慮を行う
・プライバシーに配慮しながら必要な説明をする

【例題1】免許要否の確認
問
賃貸住宅管理業者が、管理受託方式で賃貸人の依頼を受け、入居者との契約を代理として成立させる場合、宅建業法上どうなるか。
- 免許不要
- 宅建業法の免許が必要
- 賃貸住宅管理業法だけの適用を受ける
- サブリースと同じ扱い
解答
正解は「2」。媒介・代理を業として行う場合は宅建業法の免許が必要です。

【例題2】報酬規制
問
媒介により居住用建物の賃貸借契約を成立させた場合、依頼者の承諾がないとき、それぞれの依頼者から受領できる報酬の上限はどれか。
- 家賃1か月分
- 家賃0.5か月分
- 家賃1.5か月分
- 制限なし
解答
正解は「2」。居住用建物の場合、貸主・借主それぞれ0.5か月分までです。

【例題3】障害者差別解消法
問
管理業者が「障害者不可」と物件広告に記載した場合、どうなるか。
- 宅建業法違反のみ
- 障害者差別解消法違反
- どちらにも該当しない
- 契約自由の原則により問題ない
解答
正解は「2」。障害を理由とした広告は不当な差別的取扱いにあたり、違法となります。

まとめ
- 「媒介・代理を業として行う」場合は宅建業法の免許が必要。
- 管理受託方式とサブリース方式の違いを区別することが重要。
- 報酬規制は「家賃1か月分+消費税」が基準。
- 障害者差別解消法により、不当な差別は明確に禁止されている。
リンク
コメント