2025年12月、広告大手の電通グループが本社関連ビルを売却するというニュースが報じられました。
企業が象徴的な不動産を手放すという決断は、不動産業界だけでなく、経営や投資の観点からも大きな意味を持ちます。
本記事では、電通の本社ビル売却のニュースを題材に、企業が本社ビルを売却することのメリットとデメリットについて整理していきます。
電通の本社ビル売却の概要
電通グループは、東京都中央区銀座にある旧本社ビルを売却すると発表しました。
このビルは長年にわたり電通を象徴する建物として知られてきましたが、近年は使用頻度が低下しており、未活用資産となっていました。
報道によると、本件売却により数百億円規模の譲渡益が見込まれているとされています。
本社ビルを売却するメリット
① 多額の売却益を確保できる
最大のメリットは、一度に大きな資金を確保できる点です。
本社ビルのような都心の一等地不動産は資産価値が高く、売却による譲渡益は財務改善に直結します。
赤字事業の補填や、成長分野への投資原資として活用できる点は大きな強みです。
② 維持管理コストを削減できる
不動産を所有し続ける限り、
- 修繕費
- 管理費
- 固定資産税
- 老朽化への対応
といったコストが発生します。
特に築年数の古いビルほど、これらの負担は重くなります。
売却することで、固定費を圧縮し、経営のスリム化が可能になります。
③ 資本効率の向上につながる
不動産は「保有しているだけでは利益を生まない資産」でもあります。
事業に直接寄与しない資産を現金化することで、資本の回転率を高めることができます。
デジタル化や海外展開など、変化の速い業界では、現金を厚く持つこと自体が競争力になります。
④ 経営戦略の柔軟性が高まる
本社機能を縮小したり、賃貸オフィスへ移行したりすることで、事業環境の変化に応じた機動的な経営判断がしやすくなります。
特にコロナ禍以降、オフィスの在り方が見直されている中では、象徴的な不動産を持ち続けることが必ずしも最適とは限りません。
本社ビルを売却するデメリット・リスク
① 企業の象徴的資産を失う
本社ビルは単なる不動産ではなく、企業の歴史やブランドを象徴する存在です。
売却によって、長年築いてきたイメージや企業文化が薄れると感じる関係者もいます。
特に歴史的建築物の場合、この点は無視できないデメリットです。
② 将来の不動産価値上昇を享受できない
都心不動産は、将来的な再開発や地価上昇によって、さらに価値が高まる可能性があります。
売却してしまうと、将来のキャピタルゲインを得る機会を失うことになります。
短期的な資金確保と長期的な資産価値のどちらを重視するか、判断が分かれる部分です。
③ 財務不安と受け取られる可能性
本社ビル売却というニュースは、市場や取引先から
- 経営が厳しいのではないか
- 資金繰りに問題があるのでは
といったネガティブな印象を持たれることがあります。
実際には前向きな戦略であっても、説明の仕方次第ではブランドイメージを損ねるリスクがあります。
④ 売却益の使い道が重要になる
売却そのものよりも重要なのが、売却後の資金の使い道です。
明確な投資戦略や成長ビジョンが示されなければ、一時的な延命策と評価される可能性もあります。
投資家や市場は、売却後の経営判断を厳しく見ています。
不動産と経営戦略の関係
電通の本社ビル売却は、単なる不動産取引ではなく、経営戦略の転換点とも言えます。
今後は「所有から利用へ」という流れが、他の大企業にも広がる可能性があります。
不動産は企業の安定を支える一方で、足かせにもなり得る存在です。
ニュースを通じて、「不動産を持つ意味」を改めて考えることが重要です。
まとめ
- 本社ビル売却には
- 資金確保・コスト削減・資本効率向上というメリットがある
- 一方で
- ブランド価値の低下・将来価値の逸失・イメージ悪化といったデメリットも存在する
- 重要なのは、売却後の資金の使い道と経営戦略
電通の事例は、今後の企業不動産戦略を考える上で、非常に示唆に富んだニュースと言えるでしょう。

