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宅建試験で頻出の遺言と遺留分・配偶者居住権・失踪宣告を完全解説~普通方式と特別方式の違いから遺言執行・撤回・遺留分侵害額請求・失踪の効果まで例題付きで徹底整理~

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相続に関する論点の中でも、「遺言」「配偶者居住権」「遺留分」「失踪宣告」は宅建試験で非常に重要です。遺言の方式には細かな要件があり、遺留分や配偶者の権利との関係を理解していないと得点に結びつきません。

この記事では、民法に基づいた遺言の種類と効力、遺留分の権利と請求方法、配偶者居住権の制度、失踪宣告の意味と取り消しについて、例題を交えながら丁寧に解説していきます。


遺言とは?方式と効力の基本

遺言とは、生前に自分の死後の法律関係を定める行為です。民法に定められた方式に従って行う必要があります。

普通方式の遺言(3種類)

方式特徴
自筆証書遺言遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆。押印も必要。目録は自書不要。
公正証書遺言公証人と証人2人以上の立会いが必要。内容を口述し、公証人が記録。原本は公証役場に保管。
秘密証書遺言遺言の存在は明らかにしつつ内容を秘密にできる。封印し、公証人と証人の立会いで手続き。内容の自書不要。

※夫婦など複数人による共同遺言は禁止。未成年者でも15歳以上であれば単独で遺言が可能です。


特別方式の遺言と制限

緊急時などに行われる特別な遺言方法です。以下のような例があります。

  • 死亡危急者の遺言:証人3人以上の前で口授
  • 伝染病隔離者の遺言:警察官1人+証人1人以上の立会い
  • 在船者の遺言:船長または事務員+証人2人以上
  • 船舶遭難者の遺言:証人2人以上の立会いで口頭で可

※特別方式による遺言は、遺言者が6ヶ月以上生存した場合は無効となります。


遺言の効力と撤回

  • 遺言の効力は遺言者の死亡時から発生
  • 条件付きの場合は、条件が成就した時点で効力発生
  • 遺言は、遺言者がいつでも撤回可能。後の遺言や生前処分が前の遺言と抵触する場合、抵触部分は撤回されたものとみなされる

撤回とみなされる行為

  • 前の遺言と内容が矛盾する新たな遺言の作成
  • 遺贈目的物の破棄や遺言書自体の破棄

遺贈と遺言執行者の役割

遺贈とは?

遺言により特定の財産を贈与すること。以下の2種類があります。

  • 特定遺贈:特定の財産(例:○○土地をAに)
  • 包括遺贈:相続財産の一定割合(例:相続財産の1/2をAに)

※包括受遺者は相続人と同様の権利・義務を負い、遺産分割協議にも参加可能です。

遺言執行者の役割と効力

  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために指定された者
  • 相続人以外でも指定可能。家庭裁判所の選任も可
  • 執行者がある場合、相続人は勝手に処分行為などができない
  • 執行者による行為は相続人に対して直接効力を有する

※未成年者・破産者は遺言執行者になれません。


配偶者居住権の保護制度

被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた建物に無償で住み続けることができる権利です。

取得の要件

  1. 遺産分割によって居住権が認められた場合
  2. 遺贈によって配偶者居住権が設定された場合

権利の性質と制限

  • 原則:配偶者の終身存続
  • 登記が必要。建物所有者は登記義務を負う
  • 善良な管理者の注意で使用し、譲渡不可
  • 所有者の承諾なく改築・増築・第三者への使用は不可

遺留分とは?権利者と割合

遺留分は、被相続人が自由に処分できない財産の一定割合のことです。

遺留分の割合と対象者

相続人遺留分の割合
直系尊属のみ1/3
それ以外(配偶者・子含む)1/2

※兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分侵害額請求権

遺留分を侵害された相続人は、受遺者または受贈者に対して金銭による支払請求が可能です。

  • 裁判不要で意思表示のみで可
  • 行使期限
     知った日から1年/相続開始から10年

失踪宣告とは?死亡の擬制とその効果

一定期間生死不明の者を法律上死亡とみなす制度で、相続などの法律関係を明確にするために存在します。

失踪宣告の種類

種類要件死亡時期
普通失踪最後の生存確認から7年経過7年経過時点
特別失踪戦争・災害等の危難から1年生死不明危難が去った時点

※利害関係人(配偶者、子、保険受取人など)の申立てが必要

失踪宣告の取消し

  • 本人の生存が証明された場合などに、家庭裁判所により取り消されます
  • 効果は遡及し、失踪宣告は最初からなかったことになります
  • ただし、取消し前の善意の第三者との法律行為の効力は保護される

実力チェック!例題で理解を確認

例題1:次のうち、自筆証書遺言として無効とされるのはどれか?

ア.遺言者が自筆で全文を書き、押印した
イ.日付が「令和6年1月吉日」と記載された
ウ.添付の財産目録をワープロで作成した
エ.財産目録の各ページに署名・押印がある

正解:イ(特定できない日付は無効)


例題2:遺留分を有するのはどの者か?

ア.被相続人の兄弟
イ.被相続人の配偶者
ウ.被相続人の甥
エ.被相続人のいとこ

正解:イ(兄弟姉妹は対象外)


例題3:失踪宣告の普通失踪に関する記述として正しいものはどれか?

ア.5年間生死不明で宣告可能
イ.宣告を受けると権利能力を失う
ウ.死亡したものとみなされる
エ.親が請求できない

正解:ウ


まとめ

相続の場面では、遺言の方式や遺留分、配偶者保護制度、失踪宣告といったさまざまな民法上の制度が複雑に関係します。特に宅建試験では、以下のポイントを押さえることが得点につながります。

  • 遺言は方式に細かい要件あり、共同遺言は禁止
  • 遺贈と遺言執行者の役割を正確に理解
  • 配偶者居住権は相続開始時に居住していた場合に限り認められる
  • 遺留分の対象者と割合、侵害額請求権の行使期限は要暗記
  • 失踪宣告の種類と効力の違い、取り消しの効果(遡及性)も重要

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