令和7年10月9日時点で最新の「賃貸住宅管理業法FAQ集」が国土交通省から公表されました。
この資料は、賃貸不動産経営管理士試験でも頻出の「登録制度」「業務管理者」「契約ルール」などの重要ポイントをわかりやすくまとめたものです。
今回は、このFAQ集の内容を試験対策に役立つように整理し、ポイント解説としてまとめます。
第1章 賃貸住宅管理業法の基本的な考え方
■ 賃貸住宅とは
「人の居住の用に供する家屋またはその部分」を指します。
事務所・倉庫・店舗などは含まれませんが、ウィークリーマンションなどでも居住目的であれば対象になります。
■ 賃貸住宅管理業とは
賃貸人からの委託を受けて
- 建物の維持保全業務
- 家賃や敷金などの金銭管理業務
この2つを併せて行う業務を指します。どちらか一方のみの場合は、法の対象外となります。
■ 登録義務の基準
管理戸数が200戸以上の事業者は登録が義務です。
200戸未満の事業者は任意登録ですが、社会的信用を得るために登録するケースが増えています。
第2章 登録制度と登録拒否要件
■ 登録手続き
登録は地方整備局等を通じて行います。
- 登録手数料：9万円
- 有効期間：5年
- 更新手続き：満了日の30日前までに申請が必要です。
■ 登録拒否要件
以下のいずれかに該当する場合、登録が拒否されます。
- 暴力団関係者
- 破産未免責者
- 過去に登録取消処分を受けた者
- 財産状態が著しく悪い者（負債超過など）
登録は法人単位で行うため、支店単位では登録できません。
第3章 業務管理者の役割と配置義務
■ 配置義務
すべての営業所・事務所に、1名以上の業務管理者を置くことが義務です。
他の事務所との兼務は認められません。
■ 資格要件
次のいずれかを満たす必要があります。
- 実務経験2年以上＋国交省指定講習修了者
- 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、マンション管理士等で補完講習修了者
- 登録講習修了試験の合格者
■ 主な職務
- 管理業務の適正実施監督
- 契約書・重要事項説明書のチェック
- 再委託・報告体制の確認
- 従業員への教育・研修指導
試験では、業務管理者の資格・配置義務・職務内容の出題率が高いです。
第4章 管理受託契約のルールと説明義務
■ 重要事項説明
管理受託契約を締結する前に、賃貸人（オーナー）へ重要事項説明書を交付し、内容を説明することが義務づけられています。
説明は業務管理者またはその補佐者が行う必要があります。
■ 説明書に記載すべき主な項目
- 登録番号・商号・所在地
- 管理物件の特定（住所・構造など）
- 管理内容（修繕・清掃・賃料回収など）
- 報酬額と支払い方法
- 契約期間・解除条件
- 再委託・責任範囲
- 預り金の分別管理方法
■ 再委託に関する制限
再委託を行う場合は、オーナーの承諾が必要です。
また、再委託先も適切な管理体制を整えなければなりません。
第5章 金銭管理のルール
■ 分別管理の義務
入居者から預かる敷金・共益費・賃料などは、会社の資金と分けて管理しなければなりません。
同一口座で管理する場合は、明確な区分会計を行う必要があります。
■ 定期報告
管理会社は、オーナーに対して
- 家賃入出金報告
- 修繕履歴
- 入居状況
などを定期的に報告する義務があります。
第6章 特定賃貸借契約（サブリース）のルール
■ 特定賃貸借契約とは
賃貸人が賃借人に建物を貸し、賃借人が営利目的で第三者に転貸する契約をいいます。
「転貸を業として行う」ことが要件です。
■ 特定転貸事業者とは
いわゆるサブリース業者のことです。
戸数の多寡に関係なく、反復継続して転貸を行う場合は該当します。
■ オーナーへの説明義務
契約締結前に、以下の内容を書面で説明する義務があります。
- 賃料設定の根拠
- 空室リスク
- 契約解除条件
- 転貸の仕組み
この説明義務は、トラブル防止のために非常に重要です。
第7章 監督・処分と罰則
■ 行政監督
国土交通大臣または都道府県知事が監督権限を持ちます。
報告徴収、立入検査、改善命令などを行うことができます。
■ 違反に対する処分
- 虚偽報告・報告拒否：30万円以下の罰金
- 改善命令違反：登録取消または業務停止命令
第8章 経過措置と附則
■ 経過措置
法律の施行（令和3年6月）前から業を営んでいた事業者は、1年間に限り無登録で業務を継続できました。
しかし、現在は経過期間を過ぎており、無登録での営業は罰則対象です。
試験対策ポイントまとめ
| 分野 | 出題頻度 | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 定義（賃貸住宅・管理業） | 高 | 管理戸数・業務範囲 |
| 登録制度 | 高 | 200戸基準・欠格要件・更新 |
| 業務管理者 | 高 | 資格要件・職務内容 |
| 管理受託契約 | 高 | 書面説明・再委託の承諾 |
| サブリース | 中 | 特定賃貸借・説明義務 |
| 金銭管理 | 中 | 分別管理・定期報告 |
| 監督処分 | 中 | 罰則・改善命令 |
まとめ
賃貸住宅管理業法は、オーナー・入居者・管理会社の三者間でのトラブルを防ぐために制定された重要な法律です。
特に試験では、
- 200戸の登録義務基準
- 業務管理者の資格と職務
- 管理受託契約時の書面説明義務
- サブリース契約時のオーナー説明義務
といった内容が頻出です。
最新のFAQ集を通じて、実務と試験の両面で理解を深めておきましょう。
コメント