賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(通称「賃貸住宅管理業法」)における 罰則・監督処分・登録取消し等の制度 を、賃貸不動産経営管理士試験向けに整理しました。試験の頻出事項なので、しっかりと覚えておきましょう。
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1.監督処分制度の枠組み
この法律では、登録を受けた賃貸住宅管理業者(または登録が必要な管理業者)に対し、業務遂行状況や登録要件の維持状況を監督し、違反があった場合には「指導・助言・勧告」「業務改善命令」「業務停止命令」「登録取消し」などの処分を科す仕組みが設けられています。 (jpm.jp)
例えば、法第22条には「業務改善命令」、法第23条には「登録の取消し又は業務停止処分」の規定があります。 (jpm.jp)
処分が公表されることもあり、信用に関する影響も大きいため、管理事業者にとって実務上非常に重要です。 (LIFULL HOME’S Business 仲介・管理)
2.登録の取消し等(法第23条)
この法律では、以下のような「取消し又は業務停止」の事由が定められています。 (jpm.jp)
主な取消し・停止の事由
- 登録を受けた後、一定の欠格事由に該当したとき。
- 業務管理者を選任しない、重要事項説明義務を著しく怠る、財産基盤が悪化している等、登録要件を満たさなくなったとき。
- 登録を受けずに管理業を営んだ(登録義務違反)など重大な違反行為があったとき。
これらいずれかに該当すれば、国土交通大臣は登録を「取消す」か、「1年以内の期間を定めて業務を停止させる」ことができます。 (jpm.jp)
実務上のポイント
登録取消し・業務停止の処分を受けると、管理受託契約の締結や管理業務の継続に大きな支障が出ます。登録取消しを受けた者や、その役員等は、一定期間再登録ができないような「登録拒否事由」に該当することもあります。 (LIFULL HOME’S Business 仲介・管理)
3.罰則規定(刑事罰)
この法律では、登録義務・名義貸しの禁止・業務停止命令違反等、様々な違反行為に対して刑事罰(懲役・罰金)の規定も設けられています。 (国土交通省)
主な罰則の内容
- 「登録が必要な管理戸数の要件を満たしているのに、登録を受けずに賃貸住宅管理業を営んだ」等の場合: 1年以下の懲役または100万円以下の罰金、又は併科。 (国土交通省)
- 「名義貸し」で他人に賃貸住宅管理業を営ませた場合も上記同様。 (国土交通省)
- 「業務停止命令を受けているのに、業務を継続した」等の場合: 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、又は併科。 (jpm.jp)
- 軽微な届出漏れ・帳簿未備置・標識掲示義務違反等に対しては、 30万円以下の罰金 が規定されています。 (国土交通省)
注意すべき点
- 両罰規定:法人だけでなく、その代表者・使用人・代理人等も対象となり得ます。 (不動産業の資格やお仕事のサイト)
- 無登録営業や重度の違反は、管理事業者としての社会的信用を大きく損なうため、実務の現場で特に注意が必要です。
4.事例と試験対策上の整理ポイント
賃貸不動産経営管理士試験では「どのような違反でどのような処分・罰則があるか」を問う出題が出やすいため、以下のように整理しておくと有効です。
| 違反行為の種類 | 対応する処分・罰則 | キーワード・チェックポイント |
|---|---|---|
| 登録義務違反(無登録で200戸以上管理) | 1年以下懲役/100万円以下罰金 | 登録必須、200戸以上、無登録 |
| 名義貸し・代理人による営業 | 同上 | 名義貸し禁止(法第11条) |
| 業務停止命令違反 | 6か月以下懲役/50万円以下罰金 | 業務停止命令、継続営業 |
| 届出漏れ・帳簿未備置等軽微違反 | 30万円以下罰金 | 変更届、標識掲示、帳簿義務 |
| 登録取消し・業務停止 | 登録取消し・1年以内の停止 | 登録取消しの事由、監督処分 |
5.まとめ
- 賃貸住宅管理業法は、登録制度の遵守を軸に、管理事業者の適正な運営を確保するため、監督処分制度と刑事罰制度を整備しています。
- 試験対策としては、「登録すべき対象・時期・要件」「何が違反か」「それに対してどのような処分・罰則か」を整理することが非常に重要です。
- 実務上も、管理受託契約・帳簿の備置・標識掲示・業務管理者の選任など義務を怠ると、行政処分・刑事罰・社会的信用の失墜といったリスクがあります。
- 登録取消しを受けた者はその後も影響があります(再登録制限・信用問題)ため、業者としての体制整備は必須です。
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