PR

宅建試験で確実に得点するための債務不履行と契約解除の理解ポイント〜履行遅滞・履行不能・不完全履行から損害賠償・解除の種類・過失相殺まで例題付きで徹底解説〜

宅建
記事内に広告が含まれています。

宅建試験では、「債務不履行」と「契約の解除」に関する問題が頻出です。履行遅滞や履行不能、不完全履行といった不履行の種類や、損害賠償の範囲、金銭債務の特則、解除の種類と要件について理解しておくことで、確実な得点につながります。

この記事では、各制度の要点を具体例とともに整理し、例題で理解を確認できる内容にまとめました。

債務不履行の3つの種類とは?

債務不履行とは、債務者が契約に従った履行をしないことをいいます。その種類は以下の3つに分類されます。

履行遅滞

履行は可能だが、履行期を過ぎても債務を果たさないこと。

【例】車の納車を2週間以内と約束したが、部品が届かず3週間後になった場合。

履行不能

履行自体が不可能となった場合。原始的(契約当初から不能)と後発的(契約後に不能)がある。

【例】売却予定の住宅が契約後に火災で焼失した。

不完全履行

履行自体は行ったが、内容や方法が不完全だった場合。

【例】リフォーム工事を依頼したが、壁に傷をつけられた。

損害賠償の請求が可能な要件とは?

債務不履行の態様に応じて損害賠償を請求するためには、債務者に「帰責事由(責任を問える原因)」があることが必要です。

損害賠償の範囲

  • 通常損害:通常生ずべき損害。立証不要で請求可能。

例:代替品の価格、転売利益の逸失、営業利益の損失など。

  • 特別損害:債務者が予見すべき特別事情による損害。予見可能性が必要。

※損害そのものの予見ではなく、事情の予見でOK。

金銭債務には特別ルールがある

金銭債務は「価値そのもの」であるため、他の債務と異なり特則が設けられています。

  • 遅延利息は年3%の法定利率(変動あり)
  • 利息特約がある場合は、約定利率が優先
  • 損害の証明不要、不可抗力も抗弁不可

【例】借金の返済期日に遅れた場合、台風や病気で行けなかったとしても、遅延損害金の支払いは免れません。

債務不履行の効果一覧

債務不履行の種類効果例
履行遅滞損害賠償、履行の強制、契約解除(催告要)
履行不能損害賠償、代償請求、契約解除(催告不要)
不完全履行損害賠償、追完請求、契約解除(追完可否で催告の要否が変化)


損害賠償額の予定と違約金の活用

損害賠償額の予定

  • 債務不履行があったときの賠償額を契約で定めておく制度。
  • 債権者は、損害の証明をせずに請求できる。
  • 予定額を超える請求は不可。

違約金

  • 民法上は「損害賠償額の予定」と推定される。
  • 意思表示により違約罰など別の性質にすることも可能。

契約解除には「催告あり」と「催告なし」がある

契約解除は法定解除・約定解除に分かれますが、試験では特に法定解除の要件が問われます。

催告による解除(履行遅滞が主)

  • 相当期間を定めて履行を催告
  • 期間内に履行なければ解除可能
  • 債務が軽微な場合や債権者に責任あるときは不可

催告なしで解除できる場合

以下のようなケースでは催告不要で直ちに解除可能:
1. 履行が不能である
2. 債務者が履行を拒絶した
3. 履行の一部不能で契約目的達成が不可能
4. 特定期限の履行が守られなかった
5. 債務者に履行の見込みがない

契約解除の効果と第三者への影響

契約が解除されると、各当事者は原状回復義務を負います。

【注意】第三者が登記などの対抗要件を備えている場合、その第三者の権利は守られます。

【例】AがBに土地を売却→BがCに転売し登記移転済み→AがBとの契約を解除してもCから土地を返してもらうことはできない。

過失相殺のルールも確認

  • 債権者に過失がある場合、裁判所は損害賠償額を減額する必要がある(必要的)
  • 不法行為の場合は裁判所の裁量により減額(任意的)

【例】病気の錦鯉を売られたが、管理が甘かったため被害が拡大した → 損害額が減額される可能性あり

実力チェック!例題で理解を確認

例題1:次のうち、履行不能による損害賠償請求が認められるものはどれか?

ア.債務者に責任のない地震により履行不能となった
イ.契約時に目的物が存在しなかった(原始的不能)
ウ.契約後に目的物が社会的に使用不能と判断された
エ.債権者が原因で履行不能になった

正解:イ、ウ(アとエは責任なし、債務者の帰責事由必要)

例題2:債務不履行における金銭債務の特則として誤っているものはどれか?

ア.損害の証明は不要である
イ.不可抗力によっても責任は免れない
ウ.損害賠償は法定利率で固定される
エ.利息制限法の制限を超える利率も有効である

正解:エ

例題3:次の契約解除に関する記述のうち、正しいものはどれか?

ア.契約解除後は第三者の権利も当然に消滅する
イ.契約解除には必ず催告が必要である
ウ.解除後は原状回復義務が発生する
エ.契約の解除には損害賠償請求権は付随しない

正解:ウ

まとめ

債務不履行と契約解除に関する出題は、「条文知識+判例の理解」の両方が求められます。以下のポイントを重点的に確認しておきましょう。

  • 債務不履行の3類型と損害賠償の要件
  • 金銭債務の特則と不可抗力排除の原則
  • 催告の要否と解除の効果、第三者の保護
  • 過失相殺と裁判所の判断の違い(債務不履行と不法行為)

タイトルとURLをコピーしました