宅建士試験に合格しても、すべての人が宅建士として登録できるわけではありません。宅建士になるためには、欠格事由に該当しないことが求められます。
欠格事由についても試験の頻出問題なので、しっかりと理解しておきましょう。
この記事では、宅建業法における欠格事由について、具体的なケースを交えながら分かりやすく解説します。
宅建合格のポイントについては以下で解説しています。

1. 宅建士の登録に必要な条件
宅建士として活動するためには、以下の3つが必要です。
- 宅建士試験に合格すること
- 宅地建物取引士(宅建士)として登録すること
- 宅建士証の交付を受けること
試験に合格しても、欠格事由に該当すると登録ができません。欠格事由に該当しないことも宅建士になるための重要な条件となります。
2. 宅建士の欠格事由とは?
宅建士の欠格事由は、宅建業法第18条第1項に書かれています。
試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
一 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 第66条第1項第8号又は第9号に該当することにより第3条第1項の免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないもの)
四 第66条第1項第8号又は第9号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第11条第1項第5号の規定による届出があつた者(宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から5年を経過しないもの
五 第5条第1項第2号の3に該当する者
六 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
七 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
八 暴力団員等
九 第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当することにより登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
十 第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当するとして登録の消除の処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に登録の消除の申請をした者(登録の消除の申請について相当の理由がある者を除く。)で当該登録が消除された日から5年を経過しないもの
十一 第68条第2項又は第4項の規定による禁止の処分を受け、その禁止の期間中に第22条第1号の規定によりその登録が消除され、まだその期間が満了しない者
十二 心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

ポイントは以下の5つです。
① 破産手続開始の決定を受けている
自己破産をして「復権」していない場合、宅建士として登録できません。
→ 復権していれば、直ちに登録可能になります。5年を経過する必要はありません
② 一定の刑罰を受けた者
過去に一定の犯罪行為で罰を受けた場合、一定期間は宅建士になれません。対象となるのは、次の刑罰を受けた人です。
- 禁錮以上の刑(執行猶予付きでもアウト。ただし、猶予期間が経過すればOK)
- 宅建業法や重要な法律違反による罰金刑(例:詐欺、背任、横領、傷害など)
→ いずれも刑の執行が終わってから5年間は登録できません。
③ 宅建業法違反で免許取消処分を受けた者
過去に宅建業者として行政処分を受け、免許を取り消された宅建業者の役員は、その後5年間は宅建士登録ができません。一般社員はこの限りではありません。
④ 暴力団関係者
暴力団員や暴力団と関係がある人も、宅建士にはなれません。具体的には、次のようなケースが該当します。
- 現在、暴力団員である
- 暴力団員だったが、離脱してから5年が経過していない
⑤ 未成年
宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年は宅建士登録できません。
3. 欠格事由は試験の出題ポイント!
欠格事由は、宅建業法の試験範囲でも頻出の重要テーマです。試験対策としても、以下の点を押さえておきましょう。
✅ 刑の執行が終わってから5年間は登録不可
✅ 破産者は復権後なら登録可能
✅ 宅建業の免許取消を受けた宅建業者の役員は5年間は登録不可
✅ 暴力団関係者は離脱後5年経たないとNG
✅ 成年者と同一の行為能力を有しない未成年
特に「何年間登録できないのか?」という部分が試験に出やすいので、正確に覚えておきましょう!
4. 過去問に挑戦
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士及びその登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 登録を受けている者が精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者となった場合、本人がその旨を登録をしている都道府県知事に届け出ることはできない。
- 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が乙県知事に登録の移転の申請を行うとともに宅地建物取引士証の交付の申請を行う場合、交付の申請前6月以内に行われる乙県知事が指定した講習を受講しなければならない。
- 宅地建物取引士が、事務禁止処分を受け、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなかったときは、50万円以下の罰金に処せられることがある。
- 宅地建物取引士が、刑法第222条(脅迫)の罪により、罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
まとめ
宅建士試験に合格しても、欠格事由に該当すると登録できません。
宅建業法の試験において欠格事由は頻出テーマなので、ポイントを押さえて学習しておくことが合格への近道です!