建物として存在するにもかかわらず 登記がされていない建物(未登記建物) が、全国で 1,000万戸以上 にのぼる可能性があることが、法務省の実態調査でわかりました。これは日本全国で所有者がすぐにわからない建物が大量に存在しているということで、不動産取引・災害対応・税務管理などに重大な影響を与える可能性があります。
今回はこのニュースのポイントを整理しつつ、宅建試験受験者が押さえておきたい登記法の基礎も合わせて解説します。
未登記建物って何?
本来、日本では建物や土地について、登記簿に所有者・所在地・権利関係を記録することが法律で定められています。
これにより、誰が所有しているかが明確になり、不動産取引の安全や権利保全が確保されます。
しかし今回の調査で、次のような問題が明らかになりました。
- 建物が物理的に存在するにもかかわらず登記されていない
- 登記はあるが、複数建物のうち母屋だけしか登記されていない
- 登記情報から所有者が直ちに判明しない建物が多数存在
法務省は、このような建物が 全国で1,000万戸超 に上ると推計しています。
なぜ登記されない建物があるのか?
不動産登記法では、建物を新築した際などに 所有者が1か月以内に登記申請することが義務化されています。
ところが現場では、
- 建築後に申請を忘れてしまう
- 建て替え・増築した際に適切に登記をしない
- 敷地内の倉庫や離れの建物などが省略されている
- 相続等で所有者が変更になったのに登記を更新していない
といったケースが多く存在しているとみられます。
なぜ未登記建物は問題なのか?
① 災害時の対応が遅れる
内閣府は、2011年の東日本大震災の際に 所有者の確認に時間を要し、復旧対応に支障が出たと指摘しています。誰が所有しているかわからない建物は、災害復旧や補償手続きが遅れがちになります。
② 取引の安全性を損なう
未登記建物は、所有者が不明確なため不動産取引の際に 信頼性が低くなるリスクがあります。買主が安心して契約できないばかりか、債権者(銀行等)による担保評価も困難です。
③ 税務や行政管理の不利益
固定資産税や都市計画税などは登記情報を基に課税されます。未登記建物が多いと 税収管理も正確性を欠くことになります。
政府の対策と今後の動き
政府は2025年6月に策定した 規制改革実施計画 において、未登記建物の解消を明記しました。
法務省は調査結果をまとめ、2026年3月までに 未登記建物の解決策を検討する方針です。
対策として想定されるものには次のようなものが挙げられています。
- 登記手続きの簡素化・負担軽減
- 一定条件下での簡易登記制度の整備
- 行政機関による登記情報整備支援
- 相続登記未了建物への対応策
こうした制度整備は、登記簿の信頼性向上や不動産市場の透明性強化につながります。
宅建試験受験者が押さえておきたい「登記法」のポイント
今回のニュースに関連して、宅建試験で頻出・重要な固定ポイントを整理します。
✔ 不動産登記法の基本
- 登記は公示(第三者対抗力)と対抗要件として重要
- 所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記などの種類
- 登記の効果:対抗要件の取得、権利の公示
✔ 登記申請の義務
- 建物を新築した場合、1か月以内に所有者が登記申請する義務
- → 未登記建物が発生する原因となりやすい
✔ 登記簿の記載事項
- 表題部:物件の表示(所在・地番・床面積など)
- 権利部:所有権・抵当権などの権利関係
- 未登記建物は表題部すら整備されておらず、権利部の情報も欠如
✔ 登記の意義(なぜ必要か)
- 第三者対抗力の確保
- → 他の債権者より先に権利を主張できるようにする
- 取引の安全・市場流動性の確保
- → 買主・貸主が安心して契約できる
✔ 相続登記との関連
- 相続により所有者が変わっても、未登記のまま放置されているケースが多数
- 宅建試験でも近年、相続登記の義務化(2024年施行)や義務違反のペナルティが出題
まとめ
- 国内には 1,000万戸超の所有者不明・未登記建物がある可能性
- 未登記は災害対応・取引安全・税務管理の妨げになっている
- 法務省は調査結果を基に 解決策の検討を進めている
- 宅建試験では 登記制度の目的・手続・効果・申請義務をしっかり理解することが重要
未登記建物の問題は、単なるデータの話にとどまらず、不動産市場全体の信頼性や流動性にも関わる重要なテーマです。
今回のニュースを機に、登記制度の意義を改めて押さえておきましょう。

