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【賃貸不動産経営管理士試験対策】賃貸住宅標準管理受託契約書の記入例と解説

賃貸不動産経営管理士
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賃貸住宅の所有者(オーナー)が管理会社に業務を委託するときに用いるのが「賃貸住宅標準管理受託契約書」です。
この契約書は、国土交通省が示すモデル書式であり、業務内容・報酬・分別管理・再委託・解除条件など、管理業者が守るべき基本ルールを明確にしています。
試験では「どの条項がどんな目的で設けられているか」を理解しておくことが重要です。


1.契約当事者・管理対象物件(第1条)

記入例:

  • 委託者(甲):田中一郎(オーナー)
  • 管理業者(乙):株式会社〇〇不動産管理(代表取締役 佐藤花子)
  • 管理対象物件:東京都新宿区西新宿1丁目1番1号「サンハイツ新宿」101号室
  • 構造:鉄筋コンクリート造5階建
  • 管理範囲:住戸部分・共用部(エントランス・廊下・階段)

解説:
物件の所在地・構造・管理範囲を明確に記すことで、管理責任の範囲がはっきりします。
特に「共用部を含むかどうか」を明記しておくとトラブル防止につながります。


2.契約期間・更新(第3条)

記入例:

  • 契約期間:令和7年4月1日から令和8年3月31日まで(1年間)
  • 自動更新:期間満了の1か月前までに書面による解約通知がない場合、同一条件で1年自動更新

解説:
契約期間を定めることで、更新・解約時のタイミングを明確にできます。
実務上は1年更新とするケースが多く、試験でも「期間の定めがあるか・自動更新条項の有無」が問われることがあります。


3.管理業務の内容(第9条)

記入例(管理内容の具体例):

  • 共用部分の日常清掃、設備点検、修繕手配
  • 入居者からの苦情対応・設備トラブルの受付
  • 家賃・共益費の収納および送金
  • 入退去立会い、敷金精算の補助
  • 空室募集および入居審査の支援

解説:
「管理業務」とは、建物の維持保全と金銭管理の両方を含むものです。
この2要素がそろっていない場合は「賃貸住宅管理業」とはみなされません(賃貸住宅管理業法第2条)。
委託内容を細かく書くことで、受託範囲の誤解を防げます。


4.管理報酬・費用(第4条~第6条)

記入例:

  • 管理報酬:毎月家賃収入の5%(税込)
  • 支払方法:毎月25日までに乙指定口座へ振込
  • 修繕・点検費用は実費とし、甲の事前承認を得て実施

解説:
報酬の算出方法・支払時期・費用負担のルールを明確にすることで、契約上のトラブルを防ぎます。
「家賃×○%」のように割合で定めるのが一般的です。
修繕や点検にかかる費用はオーナー負担とし、管理会社が勝手に支出しないよう定めます。


5.金銭の分別管理(第10条)

記入例:
乙は、入居者から受領する家賃・敷金・共益費その他の金銭を、乙の固有財産と明確に区別し、別口座において管理する。

解説:
管理会社が預かった金銭を自社資金と混同しないようにする「分別管理義務」です。
違反すると業務停止や登録取消しの対象になる重要条項です。
試験では頻出テーマで、「家賃等の金銭はどのように扱うべきか?」という問題がよく出題されます。


6.再委託(第13条)

記入例:
乙は、本契約に基づく業務の一部を第三者に委託することができる。ただし、管理業務のすべてを一括して再委託することはできない。

解説:
再委託は「部分的に」認められますが、全部を他社へ丸投げすることは禁止です。
この条項は、責任の所在を明確にする目的で設けられています。
試験では「再委託は全面禁止ではない」点を理解しておくことが大切です。


7.善管注意義務と責任(第18条)

記入例:
乙は、善良なる管理者の注意をもって管理業務を行い、過失により甲または第三者に損害を与えた場合は、その賠償の責を負う。

解説:
「善管注意義務」とは、職業的専門家として当然に求められる注意義務です。
管理業務で過失があった場合、損害賠償責任を負うことがあります。
宅建業法と同様、専門家責任を問う出題が多いため、条文趣旨を理解しておきましょう。


8.契約の解除(第20条)

記入例:
甲または乙が契約に違反し、催告後も相手方が是正しないときは、本契約を解除できる。
また、相手方が破産・倒産等に至った場合も解除できる。

解説:
契約解除の条件は「債務不履行」「信頼関係の破壊」「経営破綻」などが典型です。
解除条項を設けておくことで、双方の安全が確保されます。
実務上は、解約時の引継ぎ(鍵・書類・預り金の返還)まで規定しておくことが推奨されています。


9.入居者への通知義務(第23条)

記入例:
乙は、管理業務を受託したときは、速やかに入居者に対し、管理内容・管理会社名・連絡先等を文書で通知する。
契約終了時も同様に入居者へ通知する。

解説:
入居者への「管理情報の通知義務」は、令和3年改正で強化された部分です。
契約締結後・終了後どちらのタイミングでも通知が必要です。
試験でもこの「入居者通知義務」が頻出ポイントになっています。


10.トラブル防止のための付記例

記入例(特約欄):

  • 修繕費の上限金額を10万円とし、それを超える場合は事前承認を要する。
  • サブリース契約を締結する場合は別途契約書を交わす。
  • 管理契約終了後も、1か月間は緊急対応を行う(有償)。

解説:
特約は、標準条項を補う形で自由に設定できます。
実務上、修繕費の上限設定や、サブリースとの関係整理は非常に重要です。
特約条項は、試験でも「特約で上書きできる内容/できない内容」の判断問題が出題されることがあります。


まとめ

「賃貸住宅標準管理受託契約書」は、
👉 賃貸管理業の業務内容
👉 責任範囲
👉 金銭管理のルール
👉 入居者への通知義務
などを体系的に理解できる非常に重要な教材です。

賃貸不動産経営管理士試験では、

  • 「分別管理」
  • 「再委託制限」
  • 「善管注意義務」
  • 「入居者通知義務」
    の4点を中心に条文を把握しておくことが合格の鍵です。


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