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宅建試験で差がつく条件・期限・時効の法理を徹底整理~停止条件と解除条件の違いから取得時効・消滅時効までを例題付きで完全理解~

宅建
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宅建試験では、契約の成立や履行に深く関わる「条件」「期限」「時効」に関する理解が不可欠です。特に、停止条件と解除条件の区別、確定期限と不確定期限の扱い、時効の援用や利益放棄のルールなどは、ひとつでも曖昧なままでは得点を逃しかねません。

本記事では、民法の基本原則と最新判例の考え方を踏まえ、宅建試験で頻出の論点を丁寧に解説し、例題で理解を深めます。

条件とは?効力の発生や消滅を左右する不確実な事実

条件とは、法律行為の効力の発生や消滅を、将来発生するかどうかが不確実な事実にかからせることです。

  • 停止条件:条件が成就すれば効力が発生(例:試験に合格したら契約が有効になる)
  • 解除条件:条件が成就すれば効力が消滅(例:試験に合格したら契約が消滅する)

原則として、停止条件は成就時から効力が発生し、解除条件は成就時から効力が消滅します。ただし、特約でさかのぼって効力を発生・消滅させることも可能です。

条件の種類と効果を押さえよう

既成条件

契約時点ですでに成就または不成就が確定している条件のこと。

  • 停止条件が成就していた:無条件扱い(有効)
  • 停止条件が不成就確定:無効
  • 解除条件が成就していた:無効
  • 解除条件が不成就確定:無条件扱い

不法条件

内容が違法または公序良俗に反する条件は全て無効となります。

不能条件

実現不可能な条件のこと。

  • 停止条件に不能条件:無効
  • 解除条件に不能条件:無条件扱い(有効)

随意条件

条件の成就が一方当事者の意思にのみ委ねられている場合。

  • 停止条件で随意条件:無効
  • 解除条件で随意条件:有効

期限とは?発生が確実な将来の時点に関わる事実

期限とは、法律行為の効力の発生または消滅を、将来発生が確実な事実にかからせるものです。

  • 確定期限:到来の時期が明確に定まっている(例:10月10日に返済)
  • 不確定期限:到来することは確実だが、時期が未定(例:父が死亡したら)

始期と終期の違い

  • 始期:効力が発生する時点(例:契約が〇日から有効)
  • 終期:効力が消滅する時点(例:〇日で契約終了)

期限の利益とその放棄・喪失

期限の利益とは?

通常、債務者が期限が来るまで履行を求められない権利。
民法では「期限は債務者の利益のために定めたものと推定する」と規定されています。

放棄

当事者は期限の利益を放棄することが可能です。放棄によって相手方に損害が及ぶ場合は、その損害を補填する必要があります。

喪失

次のような事情があれば、債務者は期限の利益を当然に喪失します。
1. 債務者が破産手続き開始決定を受けたとき
2. 担保を損傷または減少させたとき
3. 担保を供する義務を怠ったとき

期間とその起算方法

「今から30日以内」「契約締結日から3ヶ月」などのように時間的間隔で定めるのが「期間」です。

起算点の基本

  • 時間で定めた場合:即時起算(その瞬間から)
  • 日・週・月・年で定めた場合:初日は含めず、翌日から起算(初日不算入の原則)
  • 午前0時から始まる場合:その日を起算日に含める

満了日が休日の場合は、翌営業日が満了日になります(商習慣による)。

時効とは?時間の経過によって権利関係が変わる制度

時効は、一定期間が経過したことによって、法律関係に安定をもたらす制度です。

種類

  • 取得時効:他人の財産を一定期間占有していた者が、所有権を取得する制度
  • 消滅時効:一定期間権利を行使しないと、その権利が消滅する制度

時効の効力と援用

遡及効

時効の効果は、起算日にさかのぼって発生します。

例:10年間土地を占有して取得時効が完成した場合、占有開始時点から所有者とみなされます。

援用とは?

時効は、援用(自分の権利として主張)しない限り、裁判所が職権で認定できないルールになっています。つまり、援用があって初めて効果が発生します。

援用できる者とできない者

  • 援用できる例:保証人、物上保証人、詐害行為受益者など
  • 援用できない例:建物賃借人、後順位抵当権者など(判例あり)

時効の利益の放棄

  • 完成前に放棄することはできません
  • 完成後なら自由に放棄できますが、効果は放棄者に限られます(相対効)

例:主債務者が時効を放棄しても、保証人には影響がなく、保証人は時効援用が可能です。

実力確認!例題にチャレンジ

問題1:次のうち、無効となる条件はどれか?

ア.試験に合格したら贈与する
イ.甲建物が売れたら契約成立(既に建物焼失)
ウ.不法行為をしなければ契約する
エ.父が死亡したら土地を相続させる

正解:ウ(不法条件は無効)

問題2:時効完成後の放棄に関する記述で正しいものはどれか?

ア.時効完成前でも放棄できる
イ.主債務者が放棄すれば保証人にも効果がある
ウ.放棄は自由にでき、その効果は放棄者に限る
エ.裁判所が職権で放棄の有無を判断する

正解:ウ(完成後の放棄は相対効)

まとめ

宅建試験で得点源となる「条件・期限・時効」のポイントをおさらいしましょう。

  • 条件は「不確実」、期限は「確実」な将来の事実に基づく
  • 停止条件は「効力発生」、解除条件は「効力消滅」
  • 既成条件・不法条件・不能条件・随意条件の処理を整理
  • 時効の効力は遡及し、援用しないと効果は生じない
  • 時効利益の放棄は完成後のみ可能で、相対効に注意
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