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所得税・相続税・贈与税の違いや特例を宅建試験レベルで完全理解 所得控除や税率・特例の併用可否まで徹底解説

宅建
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宅建試験において「税・その他」の分野は出題数こそ少ないものの、確実に点を取るべきテーマです。特に「所得税」「相続税」「贈与税」の仕組みや特例制度については混同しやすいため、理解の整理が欠かせません。

本記事では、税の基礎構造から、譲渡所得税の課税、控除、贈与税の課税方式、特例制度の適用要件まで、例題を交えながら詳しく解説します。


譲渡所得税とは何かを明確に理解する

譲渡所得税とは、不動産の売却によって得られた利益に対して課される国税です。不動産を買ったときの価格や売却にかかった費用を差し引いた後の利益が「譲渡所得」であり、これに税率がかかります。

譲渡所得には「短期」と「長期」があり、所有期間が5年超であれば「長期」、5年以下であれば「短期」となり、それぞれ税率も異なります(長期15%、短期30%)。

例題:
Aさんは2015年5月に購入したマンションを2021年3月に売却しました。この場合、譲渡所得は「短期」でしょうか「長期」でしょうか?
答え:短期。判定は譲渡した年の1月1日時点で行います。2021年1月1日時点で所有期間が6年未満のため短期扱いとなります。


特別控除や軽減税率を正確におさえる

不動産の譲渡に伴う特例として「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」があります。これは、自己の住居として使用していた建物や敷地を譲渡した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。

また、所有期間10年超の居住用財産には6,000万円までの軽減税率(10%)が適用される場合があります。ただし、この2つの特例は併用が可能です。

注意点: 住宅ローン控除とこれらの特例(特別控除・軽減税率・買換え特例)は併用不可です。


特定の居住用財産の買換え特例と損益通算の活用

買い換えのために住宅を譲渡した場合、譲渡益があっても新居の購入費用が上回る場合には課税が繰延べられる「買換え特例」が適用されます。

また、不動産売却によって損失(譲渡損失)が生じた場合には、他の所得(給与・事業所得など)と通算(損益通算)したり、翌年以降に繰り越して控除(繰越控除)することも可能です。

例題:
Bさんはマイホームを3,000万円で購入し、2,000万円で売却した結果、住宅ローンの残高が2,500万円残りました。この場合に適用できる制度は?
答え:特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除が該当します。


贈与税の基本構造と特例制度の違い

贈与税は、個人間で無償で財産が移転された際に贈与を受けた側に課税される税です。年間110万円までは基礎控除として非課税ですが、それを超えると累進課税の対象となります。

贈与税には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」という2つの方式があり、どちらかを選択する必要があります。一度「相続時精算課税制度」を選択すると、その贈与者に関しては暦年贈与への変更はできません。


相続時精算課税と住宅資金贈与の特例の違い

「相続時精算課税制度」は、60歳以上の親から18歳以上の子または孫に贈与があった場合に、2,500万円までは非課税とし、超過分に一律20%の税率を適用。最終的に相続時にまとめて税額を精算する制度です。

「住宅取得等資金の贈与」に関しては、親や祖父母が60歳未満であっても特例が受けられますが、贈与されるのが現物不動産である場合は適用されない点に注意が必要です。

例題:
18歳のCさんが、祖父(55歳)から住宅資金として現金の贈与を受けました。この場合、住宅取得資金の贈与の特例は適用できますか?
答え:適用可能。贈与されたのが現金であり、贈与者の年齢は問われません。


特例制度の併用はできる?できない?

住宅ローン控除と以下の特例制度は併用できません。

  • 3,000万円特別控除
  • 軽減税率(6,000万円まで10%)
  • 居住用財産の買換え特例

一方、損益通算や収用等による特別控除などは、住宅ローン控除との併用が可能です。


まとめ

宅建試験で問われる「税・その他」の分野は、普段耳慣れない言葉が多く、特例制度も複雑に絡んでいるため苦手意識を持たれやすい分野です。しかし、出題傾向としてはパターンがあるため、整理して覚えることで確実に得点できます。

  • 譲渡所得税は分離課税で、長期か短期かで税率が異なる
  • 特別控除・軽減税率・買換え特例の関係性を整理
  • 贈与税は暦年方式と相続時精算課税方式がある
  • 住宅取得等資金の特例は現金贈与のみ対象
  • 特例の併用ルールは過去問で確実に押さえる

本記事を参考に、税制の理解を深めて、確実な得点源にしていきましょう。


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