賃貸不動産経営管理士試験では、「アセットマネージャー」と「プロパティマネージャー」の違いがよく出題されます。
どちらも不動産の管理に関わる重要な職種ですが、担当する業務範囲や目的が大きく異なります。
この記事では、それぞれの役割や関係性をわかりやすく解説し、最後に試験に出やすいポイントと例題も紹介します。
◆ アセットマネージャー(AM)とは
アセットマネージャーとは、不動産の資産価値を最大化するための投資管理者のことです。
投資家やオーナーに代わって、どのように物件を運用・売却していくかといった経営戦略を立て、全体の収益を管理します。
主な役割
- 不動産の取得・保有・売却の方針立案
- 投資収益率(ROI)やキャッシュフローの分析
- ポートフォリオの最適化
- プロパティマネージャーへの指示・評価
- 投資家への報告・提案
目的
アセットマネージャーの目的は、「資産価値の最大化(Value Up)」です。
投資家目線で不動産を経営的にコントロールする役割を担っています。
◆ プロパティマネージャー(PM)とは
プロパティマネージャーとは、建物の日常的な運営管理を行う専門職です。
アセットマネージャーの指示のもと、実際に現場で入居者対応や建物管理を行い、安定した賃貸経営を支えます。
主な役割
- 建物や設備の維持・点検・修繕手配
- 入居者募集・賃貸借契約の締結管理
- 家賃の徴収・滞納督促
- クレーム対応・トラブル解決
- オーナーやアセットマネージャーへの報告
目的
プロパティマネージャーの目的は、「収益の安定化と管理品質の向上」です。
現場での運営を通して、オーナーの資産運用を支える重要なポジションです。
◆ 両者の関係をイメージで理解しよう
以下のように、アセットマネージャーとプロパティマネージャーは役割を分担しています。
投資家(オーナー・ファンド)
│
│ 投資方針・目標を設定
▼
アセットマネージャー(AM)
│ 戦略を立案し、実務を指示
▼
プロパティマネージャー(PM)
│ 現場で実務を遂行
▼
建物・入居者・設備の管理
アセットマネージャーは「経営の司令塔」、
プロパティマネージャーは「現場の実行者」と覚えると整理しやすいです。
◆ アセットマネージャーとプロパティマネージャーの違いまとめ
| 比較項目 | アセットマネージャー(AM) | プロパティマネージャー(PM) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 不動産投資全体 | 個別物件の運営 |
| 目的 | 資産価値の最大化 | 収益の安定化 |
| 主な業務 | 投資戦略・収益分析 | 建物管理・入居者対応 |
| 主な相手 | 投資家・オーナー | アセットマネージャー・入居者 |
| 視点 | マクロ(経営戦略) | ミクロ(現場運営) |
| 成果指標 | ROI・NOI・キャッシュフロー | 稼働率・家賃回収率・苦情件数 |
この表を覚えておくと、試験問題で「どちらの立場の業務か」を判断しやすくなります。
◆ 試験で問われやすいポイント
賃貸不動産経営管理士試験では、次のような点がよく出題されます。
- 両者の業務範囲の違い
→ AMは戦略的・投資的管理、PMは実務的・現場管理です。 - 報告関係の流れ
→ PM → AM → オーナーの順に報告・提案が行われます。 - 管理業務受託契約との関係
→ 「賃貸住宅管理業法」に基づく管理業務受託契約は、主にPMが関係します。 - 不動産投資顧問業との関係
→ AMが投資助言などを行う場合には、「不動産投資顧問業登録」が必要となるケースがあります。
◆ 例題にチャレンジ!
問題:
次のうち、プロパティマネージャーの業務として最も適切なものはどれでしょうか。
- 不動産投資ファンドのポートフォリオ構築
- 賃貸物件の入居者募集および契約管理
- 不動産の取得・売却戦略の立案
- 投資家への運用報告書の作成
▶ 正解:2
解説:
入居者募集や契約管理は、プロパティマネージャーの代表的な業務です。
1・3・4はアセットマネージャーが担う投資運用レベルの業務に該当します。
◆ まとめ
- アセットマネージャーは、投資家の立場で資産全体を経営的に管理します。
- プロパティマネージャーは、現場で建物や入居者を運営的に管理します。
- 試験では、「誰の立場で」「どの範囲の管理か」を意識して選択肢を判断することが重要です。
アセットマネージャーとプロパティマネージャーの違いをしっかり理解しておくことで、管理業務全体の構造が明確に見えてきます。


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