PR

投資用不動産による相続税対策――規制強化の動きと注意点を整理

ニュース
記事内に広告が含まれています。

近年、賃貸マンションや一棟アパートなど「投資用不動産」を活用した相続税対策が広がっていました。しかし、2025年11月、政府・与党がこのような手法を抑制するための評価基準の見直しに乗り出す方針を示し、不動産活用による節税スキームが大きく見直される可能性が出ています。

この記事では、現状の制度・手法、改正案の内容、宅建受験者として押さえておきたいポイントを整理します。


なぜ投資用不動産が“節税手段”とされてきたか

不動産投資が相続税や贈与税の節税に使われてきた背景には、税制評価方法の特徴があります。

  • 不動産評価額が現金より低くなることが多い
  • → 土地は路線価評価、建物は固定資産税評価額が基本で、実勢価格に比べて大幅に低く見積もられがち。
  • 貸家や賃貸用不動産なら評価減の対象に
  • → 居住用に使われている不動産と異なり、賃貸用に供している不動産は評価がさらに割り引かれるため、節税効果が期待されてきた。
  • 相続税を回避もしくは圧縮しやすい構造
  • → 現金などに比べて評価額が低いため、相続税の負担を抑えやすく、資産家だけでなく中堅層にも“節税目的の不動産取得”が広がっていた。

こうした背景から、“節税+賃貸収入”を目的とした不動産投資は、かつてから広く利用されてきました。


政府・国税庁が節税スキームの見直しを検討——なぜ今か

しかし最近、こうしたスキームを巡る問題が顕在化し、2025年11月27日、政府・与党は 投資用不動産を使った相続税対策の抑制 に向けた 評価基準の見直し を検討開始しました。

主な議論内容は以下のとおりです:

  • 現在の評価基準(路線価など)では市場価格と乖離しすぎており、不公平が生じている
  • 投資目的の賃貸不動産を「購入価格」ベースで評価する方針
  • 特に「購入から5年以内に相続された賃貸用不動産」への規制を想定
  • 小口化商品(=少額から参加できる不動産投資スキーム)も取引価格ベースで評価見直し

政府によれば、ある事例では「現金相続なら12億3,000万円の相続税が課されるところ、不動産評価を低く見積もることで4億4,000万円に抑えられた」という節税効果の大きさが確認されており、制度の公平性との兼ね合いから見直しが急がれています。


宅建受験者・不動産業者が今押さえるべきポイント

この動きは、宅建の知識・実務理解にも直結します。特に以下の点は重要です:

  • 不動産の評価方法の見直し
  • → 将来的に、賃貸用不動産の評価が「購入価格ベース」になる可能性が高く、従来の“路線価や建物評価の割引”を前提とした節税スキームは成り立たなくなる恐れがあります。
  • 小口化商品・投資スキームの慎重な取り扱い
  • → 相続税対策を目的とした不動産小口化商品や一棟投資は、今後税務上の評価が見直される可能性があるため、宅建業者として慎重な説明義務があります。
  • 投資と相続の「ワンストップ理解」の重要性
  • → 不動産を取得するときだけでなく、「相続時の税金」まで含めた長期的な視点で顧客に説明する必要があります。
  • 税制改正の動向チェック
  • → 2026年度の税制改正大綱への明記を目指すという報道もあるため、継続的な情報収集が必要です。

それでも「不動産が有効な相続対策」である理由と限界

制度見直しの動きはあっても、不動産が相続対策で完全に意味がなくなるわけではありません。以下のようなメリットと注意点があります。

✅ メリット

  • 現金と違って流動性が低く、相続時に換金余地を持たせやすい
  • 賃貸収入を得ながら評価額を抑えられる可能性
  • 不動産の種類・用途によっては、節税と収益の両立が可能

⚠ 限界・リスク

  • 税制改正でスキームが成立しにくくなる可能性
  • 流動性が低いため、不動産価値の変動リスクがある
  • 相続が発生したとき、資産価値が認定通りになる保証はない

つまり「不動産=最強の相続税対策」というわけではなく、法律・税制・市場環境の変化を前提にした慎重な資産設計が求められます。


まとめ——今が「不動産相続税対策」の大転換期

  • 政府・与党が相続税対策としての投資不動産の評価基準を見直す動きに入った
  • 従来の節税スキームは、今後通用しにくくなる可能性が高い
  • 宅建業者としては、契約時だけでなく相続・税務まで見据えた説明責任が重要
  • 不動産による相続税対策は依然有用だが、改正リスクや市場リスクを理解した上で行うことが必須

不動産投資や相続対策を考える人にとって、「仕組みの変化を理解すること」 がこれまで以上に重要になっています。

宅建受験用の知識としても、制度改正の動きや評価方法の変更は押さえておきたい論点です。


タイトルとURLをコピーしました