〜10〜15万円帯で顕著、賃貸市場に起きている変化とは〜
首都圏の賃貸市場で、「敷金・礼金ゼロ」の物件が着実に増えています。
特に賃料10万円以上15万円未満の物件で、敷金ゼロ物件の割合がこの2年で12.6ポイント増加し、4割を超える結果となりました。
本記事では、このニュースの内容を整理するとともに、賃貸市場で何が起きているのかを分かりやすく解説します。
敷金ゼロ物件は「全賃料帯」で増加
今回の調査は、2018年1月〜2025年10月にLIFULL HOME’Sへ掲載された一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の居住用賃貸物件を対象に行われました。
まず注目すべきは、敷金ゼロ物件がすべての賃料帯で増加しているという点です。
敷金ゼロ物件の主な増加状況
- 賃料10万円未満
- 2023年:53.2% → 2025年:63.3%(+10.1pt)
- 賃料10〜15万円未満
- 2023年:33.8% → 2025年:46.4%(+12.6pt)
- 賃料20万円以上
- 2023年:14.8% → 2025年:18.6%(+3.8pt)
特に、10〜15万円未満の中間価格帯での伸びが最も大きい点が今回の調査の特徴です。
敷金の「月数」もじわじわ減少
敷金ゼロ物件が増える一方、敷金あり物件の敷金月数も緩やかに減少しています。
- 全賃料帯で、2023年調査から横ばい〜減少傾向
- 20万円以上の物件では
- 1.18か月分 → 1.10か月分へ減少
現在、敷金はおおむね1.03〜1.10か月分に収まる水準となっており、
「家賃2か月分の敷金」というイメージは、特に首都圏では過去のものになりつつあります。
礼金ゼロは高額物件で増加、ただし中間帯は例外
一方、礼金については少し異なる動きが見られます。
礼金ゼロ物件の増減
- 20万円以上の物件
- 31.4% → 42.3%(+10.9pt)
- 10〜15万円未満の物件
- 32.6% → 30.2%(減少)
高額帯では「礼金ゼロ」が進む一方、
10〜15万円未満の中間賃料帯では、礼金あり物件が依然として主流です。
また、礼金あり物件の礼金月数は微増傾向となっており、
- 10〜15万円未満:+0.04か月
- 15〜20万円未満:+0.05か月
と、貸主側が一定の強気姿勢を保っていることがうかがえます。
なぜ「敷金ゼロ」が広がっているのか?
背景には、複数の市場要因があります。
入居時費用の負担軽減ニーズ
- 物価高・金利上昇の影響
- 引越しコスト全体の増加
- 若年層・単身世帯の増加
空室対策としての条件緩和
- 新築・築浅物件の供給増
- 賃貸市場の競争激化
- 入居までのスピード重視
貸主側にとっても、「敷金ゼロ=リスク増」ではなく、保証会社や保険でカバーする仕組みが定着してきたことが大きな要因です。
今後の賃貸市場はどうなる?
今後の見通しとしては、
- 敷金ゼロは今後も拡大傾向
- 礼金は「高額帯ほどゼロ化」「中間帯は残る」
- 初期費用を抑えたい層向けの競争が激化
という構図が続く可能性が高いと考えられます。
入居者にとっては選択肢が広がる一方、「敷金ゼロ=退去時トラブルが起きやすい」ケースもあるため、原状回復や特約の内容確認はより重要になります。
まとめ
- 首都圏では敷金ゼロ物件が全賃料帯で増加
- 特に賃料10〜15万円未満での増加が顕著
- 礼金は高額帯でゼロ化、中間帯では維持・微増
- 市場競争と入居者ニーズの変化が背景
賃貸条件の「常識」が変わりつつある今、数字の動きから市場の流れを読み取ることが、借主・貸主双方にとって重要になっています。

