はじめに
不動産取引において、航空法に関連する制限も場所によっては健闘における重要な事柄となり得るため、重要事項説明をすべき箇所のひとつとされています。本記事では、重要事項説明書に記載される航空法関連の規制について、わかりやすく解説していきます。
本項目は過去の宅建試験ではあまり登場していませんが、近年、高い建物も増えており、今後の試験では出てくる可能性も十分にあると思い紹介いたします。
宅建合格へのポイントについてはこちらで解説しております。
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航空法による建築制限とは
航空法では、空港周辺の安全な航空機の離着陸を確保するため、建築物の高さを制限しています。この制限は「制限表面」と呼ばれる区域によって定められており、不動産取引の際には重要な確認事項となっています。
主な制限表面の種類
- 進入表面
- 滑走路の末端から外側に向かって上向きに傾斜する表面
- 航空機の進入経路を保護する目的がある
- この区域内では、表面の高さを超える建築物は建てられない
- 転移表面
- 進入表面の側面から上方に延びる表面
- 空港周辺の建築物の高さを規制する
- 水平表面
- 空港の周囲に一定の高さで水平に広がる表面
- 通常、空港標高から45m上方に設定される
※なお、制限表面の範囲については、各空港毎に設定されております。詳細については各空港へ確認が必要です。
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重要事項説明での記載事項
1. 制限の有無の確認
重要事項説明では、該当があれば、以下の点について説明する必要があります:
- 対象不動産が制限表面の範囲内にあるかどうか
- 該当する制限表面の種類
- 具体的な高さ制限の数値
2. 建築計画への影響
制限がある場合は、以下の事項について説明が必要です:
- 建築可能な最高高さ
- 現在の建築物が制限に適合しているか
- 将来の増改築の可能性への影響
まとめ
航空法による建築制限は、不動産の利用価値に大きく影響する可能性がある重要な事項です。不動産取引に関わる専門家は、これらの制限について正確に理解し、買主に適切な説明を行うことが求められます。
また、買主側も、将来の建築計画や資産価値への影響を考慮し、この制限について十分な理解を得ることが重要です。

参考資料
- 航空法(昭和27年法律第231号)
- 国土交通省航空局「航空法による制限表面の手引き」
- 不動産の重要事項説明ガイドライン