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宅建試験で問われる質権・留置権・先取特権の違いと特徴を徹底解説~効力の及ぶ範囲や対抗要件・優先順位まで例題付きで完全マスター~

宅建
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宅建試験の担保物権分野では、抵当権と並んで「質権」「留置権」「先取特権」も頻出テーマです。特にこれらは似たような用語が多く、試験では違いを理解していないと正答が難しい問題も出題されます。

この記事では、それぞれの権利の意味・成立要件・対抗要件・効力・順位などを徹底的に比較し、例題付きで確実に得点できる実力を養いましょう。


質権の基本と特徴

質権の意味

質権とは、債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、弁済がなければその物から優先弁済を受けられる権利です。

  • 債権の付従性・随伴性・不可分性・物上代位性・優先弁済効力・留置的効力を持つ
  • 動産・不動産・債権が対象となる
  • 債務不履行があるまで質物を保持できる

質権の設定と対抗要件

質権の種類効力発生要件対抗要件
動産質引渡し(占有改定不可)占有継続
不動産質引渡し + 登記登記
債権質合意第三債務者への通知または承諾

※動産質は、引渡し後に質物を返還すると対抗力を失う(判例)

実行方法と流質契約の禁止

  • 原則:競売による換価・配当
  • 例外:動産質は「簡易な弁済充当」可
  • 債権質は第三債務者への直接取立て可能
  • 質物を担保に弁済期前に所有権を取得する「流質契約」は原則禁止

留置権の基本と要件

留置権の意味

留置権とは、他人の物を占有する者が、その物に関して発生した債権について、弁済を受けるまで物を留め置く権利です。質権と異なり、契約によらず法律上当然に発生する「法定担保物権」です。

成立要件

  1. 他人の物を占有している
  2. その物に関する債権がある
  3. 債権が弁済期にある
  4. 占有の開始が不法でない

例:時計の修理代を支払わない依頼主に対して、時計店が返還を拒否できる

効力と制限

  • 保管義務(善良な管理者の注意)
  • 果実の収取と自己債権への充当が可能
  • 使用・賃貸・担保提供は債務者の承諾が必要
  • 留置権は占有を失うと消滅

※不動産に対しても行使可能だが、登記は不可


先取特権の構造と種類

先取特権の意味

先取特権とは、法律で定められた特定の債権について、他の債権者に先立って弁済を受けられる権利です。これも「法定担保物権」に分類されます。

種類と対象財産

分類対象債権例目的物
一般の先取特権共益費用、雇用関係、葬式費用、日用品供給総財産
動産の特別先取特権宿泊費、運送費、保存・売買費など特定の動産
不動産の特別先取特権保存工事・売買など特定の不動産

効力と対抗要件

  • 原則として競売による実行
  • 動産先取特権は、動産が第三者に引き渡されると行使不可
  • 不動産先取特権のうち「保存」「工事」については登記があれば抵当権より優先
  • 一般先取特権は登記なくしても対抗可(ただし不動産以外からの優先が原則)

先取特権の優先順位まとめ

一般の先取特権

  1. 共益費用
  2. 雇用関係
  3. 葬式費用
  4. 日用品供給

動産の先取特権

  1. 宿泊・運送・不動産賃貸
  2. 保存
  3. 売買・種苗・労務

不動産の先取特権

  1. 保存
  2. 工事
  3. 売買

※一般と特別が競合する場合は「特別」が優先。共益費用は常に最優先。


例題で実力チェック

問題1:次の担保物権のうち、物上代位性が認められないものはどれか?

ア.質権
イ.先取特権
ウ.留置権
エ.抵当権

正解:ウ
→ 留置権には物上代位性がありません。


問題2:留置権が成立するために必要な要件として誤っているものはどれか?

ア.占有が他人の物であること
イ.債権がその物に関するものであること
ウ.弁済期にあること
エ.担保設定契約があること

正解:エ
→ 留置権は法定担保物権なので契約は不要。


問題3:先取特権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか?

ア.不動産の売買による先取特権は登記がなくても抵当権に優先する
イ.宿泊費の先取特権は第三者に引き渡された動産に対しても行使できる
ウ.共益費用の先取特権は他のすべての先取特権に優先する
エ.先取特権には随伴性は認められない

正解:ウ


まとめ

宅建試験での担保物権の得点源は「違いの理解」です。以下のポイントをしっかり押さえましょう。

  • 質権は契約による設定。動産質では引渡しが必要、占有改定不可
  • 留置権は法定担保物権。占有が不可欠で占有喪失で消滅
  • 先取特権は法律上当然に成立し、種類ごとに優先順位がある
  • 対抗要件や実行方法、果実の収取や物上代位性などの違いに注意

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